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孤高の狩人はやがて皆の希望に   作者: 白狐 緋宵
後日談

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月下のベテラン、永遠の誓い

完璧な予約投稿これでぐっすり寝れるぜ



 美月のキレキレなツッコミによってリビングでのじゃれ合いを終え、朝霧家の2LDKのマンションに夜の帳が降りた頃。


 美月が子供部屋でぐっすりと眠りについた後、雫と澪の2人は、静まり返ったリビングのベランダへと出ていた。

 夜風が白パーカーと赤髪を優しく揺らす。

 人間の頃なら暗闇に包まれていたはずの街の景色が、吸血鬼の始祖、そして真祖となった現在の2人の瞳には、まるで昼間のように鮮明に、世界の隅々まで見通せていた。


「……ん。お月様、すごく、綺麗。身体の奥が、ぽかぽかする」


雫はベランダの手すりに寄りかかり、感情の読めない真紅の瞳を夜空に浮かぶ満月へと向けた。

設定通り、月が出ると吸血鬼のステータスは大幅に上昇する。雫の透き通るような白い肌が、月光を浴びて淡く神秘的な輝きを放っていた。


「本当だね……。夜なのに、風の音も、遠くの街の灯りも、全部すぐ近くにあるみたい」

澪も隣に並び、自分の細い指先を見つめた。

人間の頃には感じられなかった、圧倒的な魔力の脈動。そして、何よりも――。


「ねえ、雫ちゃん」

「……ん?」


澪は少し照れくさそうに、けれど真剣な眼光を宿した真紅の瞳で、雫の横顔を見つめた。


「ガルガ師匠のメッセージにもあったけど……私たち、吸血鬼になったってことは、もう歳を取らないんだよね?

 これから何十年も、何百年も……ずっと、この姿のまま生きていくんだよね」

「……うん。不老。ずっと、このまま。お山(ダンジョン)が崩れても、私は、死なない」


雫はおとなしめの天然な口調のまま、タメ口を交えてぽつりと言った。

外の世界を知らずに一人で生きてきた雫にとって、「永遠」という言葉は、かつて孤独な山の中で過ごした果てしない時間と同じものだった。けれど、今の彼女の隣には――。


「……でも、寂しくない。これからは、澪が、ずっと一緒にいるから」

「雫ちゃん……っ」


無表情な顔のまま、あまりにも真っ直ぐに紡がれた雫の告白。

澪の顔は一瞬で夜の闇に隠しきれないほど真っ赤に染まった。無自覚に距離を詰めてくる雫の優しさに、胸の奥がキュンと鳴って、愛おしさが限界まで溢れ出す。


「うん……! 私も、何百年経っても、絶対に雫ちゃんの隣を離れないよ。

 雫ちゃんが始祖なら、私はそれを一生守り続ける、世界で一番最強の『真祖の前衛』になってみせるんだから!」

「……うん。頼りにしてる、私の、お嫁さん」

「お、およめっ!? ちょっと、どこでそんな言葉覚えてきたのぉーっ!?」


澪が完全にオーバーヒートしてデレデレになり、ベテランの静寂をぶち破るような声を上げると、雫は無表情のまま、少しだけ嬉しそうに目を細めた。

そして、手首に結ばれたパーティーの『組紐』を、澪の手と重ね合わせるようにして、そっと優しく握りしめる。


手首を通じて混ざり合う、紅蓮の炎の魔力と、始祖の血の魔力。

魔導科学の常識すら置き去りにした2人の吸血鬼の絆は、静かな月明かりに照らされながら、永遠に解けない特別な誓いとなって、夜の街へと溶けていくのだった。


最後まで見てくださりありがとうございます

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