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孤高の狩人はやがて皆の希望に   作者: 白狐 緋宵
後日談

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紅蓮と深紅の混ざる熱

時間がなくて投稿が…




「丸太と一緒にしないでよぉ……っ!」



 リビングに澪の真っ赤な抗議の声が響く。


 けれど、雫は至って大真面目な顔のまま、自分の太ももをもう一度ポンポンと叩いた。

 山育ちの雫にとって、丸太は冬を越すための大切な宝物であり、命の源だ。つまり、澪を丸太に例えるのは、彼女なりの最大級の親愛の証なのである。



「……みおは、丸太より柔らかい。……はやく、おいで」


「う、ぅぐ……もう、雫のばか……っ」



 その無自覚な追い打ちに完全降伏した澪は、顔を両手で覆いながら、観念したように雫の膝の上へと頭を横たえた。


 ふわり、と、雫の鼻腔を澪のハーフアップに結われた赤髪の香りがくすぐる。


 膝に乗った澪の頭は驚くほど軽くて、けれど、先ほど自らの牙を突き立てて眷属(吸血鬼)へと変えたその身体からは、人間の頃とは明らかに違う『異変』が起き始めていた。



「……ん、冷たい……。雫のお膝、ひんやりしてて、気持ちいい……」



 トロンとした瞳で雫を見上げる澪。

 吸血鬼の始祖である雫の体温は、以前よりも少し低い。対して、雫の膝に触れている澪のうなじからは、じわじわと、陽だまりのような熱が溢れ出ていた。


 ドクン、ドクン、と。

 雫の鋭い耳に届く澪の心音。

 その鼓動に合わせて、澪の身体の奥から、鮮やかな『紅蓮の炎』の魔力と、雫から分け与えられた『始祖の血の魔力』が、お互いを激しく求め合うように混ざり合っていくのが分かった。



「みお、身体……あつい?」


「うん、なんだろ……。怒って赤くなってるのとは、違う気がする。

 なんかね、魔力の通り道が、すっごく広くなってる感じがして……」



 澪がそっと自分の右手を顔の前にかざす。

 すると、その細い指先から、パチパチと小さな赤い火花が爆ぜた。


 ただの火花ではない。

 その炎の奥には、雫の瞳と同じ、深い『深紅の輝き』が混ざり合っている。



「……これ、私の魔力?

 今なら、いつもよりずっと凄い炎が出せる気がする……!」


「お姉ちゃん、リビングで急に魔法を使おうとしないでよ!?

 マンション燃えちゃったら、またシェルター行きなんだからね!」



 キッチンからお肉の焼けるいい匂いと共に、美月の鋭いツッコミが飛んできた。

 澪は「あはは、そうだよね」と苦笑いしながら手を下ろす。



「……みお、すごい。強くなった」



 雫は無表情のまま、けれど嬉しそうに、澪の額に張り付いた赤髪を優しく指先で整えてあげた。


 人間の前衛剣士から、始祖の血を引く『吸血鬼の前衛剣士』へ。

 大氾濫を生き延び、永遠の時間を手に入れた2人の絆は、魔導科学の力すら超える、新しい最強の力を生み出そうとしていた。


最後まで見てくださりありがとうございます

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