↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤高の狩人はやがて皆の希望に   作者: 白狐 緋宵
覚醒の紅蓮――孤高の狩人はやがて皆の希望に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/39

皆の希望、紅蓮と深紅の終止符



 結晶の全身をボロボロに破壊され、跪いた深層の王『ジ・アース』。

 だが、死に体の怪物は、その胸の奥にある『真の魔力核』をかつてないほど禍々しく、眩く明滅させ始めた。周囲に残る漆黒の魔力をすべてその一点に凝縮していく。


「……っ、あれ、自爆するつもりだわ! この規模で爆発されたら、要塞ごと街が消し飛んじゃう!」

 澪が紅く染まった瞳を見開き、悲痛な声を上げた。


「……ん。美月のところに、破片すら、行かせない」


 雫は至近距離までトコトコと歩み進めると、おとなしめの無表情のまま、感情の読めない真紅の瞳を細めた。

 彼女が弓を引き絞ると、自身の全魔力と血液が一本の矢へと集束していく。それは今までのものとは次元が違う、戦場全体を赤く染め上げるほどの巨大な【深紅の光の杭】へと姿を変えていった。


「……澪。私の、すべてを、乗せる。……道を、作って」

「――任せて! ハァァァァァッ!!」


 澪が紅蓮のオーラを全身に爆発させ、弾丸のように跳躍した。

 自爆の光を放とうとするジ・アースの胸部に向けて、限界を超えた速度で大剣を振り下ろす。


『初級剣技・極』――紅蓮断頭っ!!


 キィィィンッ! バリバリバリッ!!


 澪の一撃必殺の剣技が、ボスの分厚い結晶の胸壁を真っ二つに叩き割り、剥き出しになった『真の魔力核』を完全に露出させた。最高の盾が、最高の道を切り拓いたのだ。


「……終わり。丸太、おやすみなさい」


 雫はおとなしいタメ口のまま、神速の指先を完全に解き放った。


――ヒュンっ!!!!!!


 それは、もはや音すら置き去りにした閃光だった。

 放たれた深紅の杭は、澪が抉じ開けたジ・アースの胸の奥――明滅する魔力核へと、寸分の狂いもなく真っ直ぐに突き刺さった。


 ……カツン、という小さな音が響いた、次の瞬間。


 ズドォォォォォォォンッ!!!!


 激しい爆風とともに、ジ・アースの巨体が内側から完全に頽れ、結晶の塵となってサラサラと戦場に霧散していった。大氾濫の『王』の、完全なる消滅。

 核を失った背後の魔物たちも、光の塵となって次々と消えていき、要塞を包んでいた赤黒い霧が、嘘のように綺麗に晴れ渡っていく。


「た、倒した……? 本当に、あの深層の化け物を倒しちまったのか……!?」

「俺たちは、助かったんだ……! 街は守られたんだぁぁぁ!!」


 静まり返っていた戦場に、一気に爆発的な歓声と、涙ながらの勝利の咆哮が沸き起こる。

 生き残った何百人もの探索者たちが、抱き合い、武器を掲げて歓喜に震えていた。


「……ふぅ。お腹、ペコペコ。……澪、帰って、お肉食べよ?」

 白パーカーのフードをパタパタと払いながら、雫は無表情のまま、トコトコと澪の元へ歩み寄った。


「あはは……もう、本当に雫ちゃんはマイペースなんだから……。……っ、うわっ!」


 緊張の糸が切れて足がもつれた澪は、そのまま雫の胸の中へと倒れ込んでしまった。

 すかさず雫が華奢な腕で優しくその体を抱きとめる。お互いの命の重さと、無事であることの温かさが、組紐で繋がれた手首を通じてじんわりと伝わってきた。


「本当に……無事で良かった。ありがとう、雫ちゃん……。私、雫ちゃんが大好きだよ……」

 胸に顔を埋めたまま、フニャフニャにデレて涙声で囁く澪。


「……ん。私も、澪が、一番好き。……ずっと、隣にいて」

 雫は真紅の瞳をパチパチと瞬かせながら、無表情のまま、けれど愛おしそうに澪の赤髪を優しく撫でるのだった。


 傷つき、泥に塗れながらも、お互いを強く抱きしめ合う2人の美少女。

 その姿は、要塞の窓から差し込み始めた美しい朝日の光に照らされて、まさに街の危機を救った、名実ともなる『皆の希望』そのものだった。


最後まで見てくださりありがとうございます

よかったら評価くれると嬉しいです


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。