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孤高の狩人はやがて皆の希望に   作者: 白狐 緋宵
覚醒の紅蓮――孤高の狩人はやがて皆の希望に

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紅蓮と深紅、神速の二重奏



 漆黒の破滅魔術を放ち、勝利を確信していた深層の王『ジ・アース』。

 しかし、晴れ渡る硝煙の奥から現れたのは、紅い魔力の炎を滾らせる澪と、真紅の瞳を開放し、無限の血の矢を番える吸血鬼の始祖――雫の姿だった。


「グ、オォ……っ!?」

 ボスの巨体が、2人の放つ圧倒的なプレッシャーに、本能的な恐怖を覚えたように微かによろめいた。


「待たせてごめんね、雫ちゃん! ここからは……2人でアイツをぶっ飛ばすよ!」

「……うん。澪。お待たせ。……あの丸太、すごく生意気だから、細かく刻む」


 雫はおとなしめの天然な口調のまま、タメ口を交えて静かに、けれど凶悪な殺気を込めて微笑んだ。

 血魔術の代償として、雫の防御力は紙のように薄く引き下がっている。しかし、今の彼女には、その圧倒的な脆さを補って余りある、覚醒した澪という『最強の盾』がいた。


「『紅蓮の闘志』――全力展開ッ!!」


 澪が地を蹴り、紅い閃光となって突撃する。

 ジ・アースが怒り狂って巨大な結晶の腕を振り下ろすが、A級ラインへと覚醒した今の澪の速度は、ボスの攻撃を完全に凌駕していた。


 キィィィンッ!!


「ハァァァァッ!!」

 澪の紅蓮の剣技が、ボスの結晶の腕を真っ向から受け流し、激しい火花を散らして弾き返す。完璧な前衛としての防御。


 そして、その澪の肩越しから、雫の『真紅の瞳』が妖しく明滅した。

 雫の細い指先が、弦に番えられた深紅の光の矢を、神速の領域で解き放つ。


 発動するのは、血魔術と融合したユニークスキル――『百射百中・裂血』。


 ヒュンっ!!!!


 放たれた血の矢は、一本のレーザー光線のようになって空間を焼き裂き、澪が弾き返して無防備になったジ・アースの右肩の関節を、寸分の狂いもなく貫いた。


 ズガァァァァンッ!!


「ガ、アァァァァッ!?」

 ボスが絶叫を上げる。結界の魔力を強制的に侵食するような、吸血鬼の始祖の呪いが宿った血の矢。直撃した結晶の肩が、再生を許されず、内側からボロボロと腐り落ちるように崩壊していく。


「……まだまだ。お肉は、無限に、あるから」


 雫は無表情のまま、トコトコと歩を進めながら、間髪入れずに二の矢、三の矢を引き絞る。

 自身の血を媒介にしているため、今の雫に矢切れという概念は存在しない。一秒間に数発という神速の連射が、深紅の雨となってジ・アースの巨体を容赦なく穿っていく。


 ヒュンヒュンヒュンヒュンっ!!!!


 澪が前衛でボスの反撃をすべて完璧に斬り伏せ、その隙を雫の無限の血の矢が確実に破壊していく。

 数分前まで戦場を支配していた抗いようのない絶望は、今や完全に覆り、2人の少女による完璧な『蹂躙』へと変わっていた。


 蜂の巣にされ、巨体をボロボロに崩していく深層の王。

 勝利は目前。しかし、死に体のジ・アースが、最後の力を振り絞るようにして、その胸の奥にある『真の魔力核』を妖しく激しく明滅させ始めたのを、雫の赤い瞳は見逃さなかった。


最後まで見てくださりありがとうございます

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