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孤高の狩人はやがて皆の希望に   作者: 白狐 緋宵
大氾濫(スタンピード)勃発! 最前線の孤高の狩人

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深淵の王、絶望の顕現



 ロックゴーレムの突進を雫が打ち砕き、バルトの拳と澪の紅蓮の剣が中級魔物たちを圧倒する。

 戦況は完全に人間の優勢へと傾いた――誰もが、そう確信した。


 しかし、その希望をあざ笑うかのように、ダンジョンの最奥から噴き出したのは、これまでの下級・中級魔物とは次元が違う「漆黒の魔力」の津波だった。


 ドサリ、ドサリと、それまで狂暴に暴れていたマンティスや残ったロックゴーレムたちが、恐怖にガタガタと震えながらその場に平伏していく。魔物たちが、自らの『王』を迎えるように平伏したのだ。


「……っ、澪、後ろ! 隠れて、早く!」


 雫の『野性直感 Lv.4』が激しい警報を鳴らし、彼女の無表情な顔が初めて驚愕に歪んだ。すかさず澪の首根っこを掴んで力任せに背後へ引き剥がす。


 直後、赤黒い霧を割って姿を現したのは、人の形を模した、巨大な黒い結晶の戦士だった。

 頭部には悍ましい山羊の角。その身から放たれるのは、空間そのものを自重で圧し潰すかのような、圧倒的な【深層のボス魔物】のプレッシャー。


「嘘だろ……深層第五十階層の守護者、ジ・アースが、なんでこんな地上近くに……ッ!?」

 最前線で拳を構えていたギルマスのバルトが、その日初めて、絶望に顔を青ざめさせて声を震わせた。


 A級探索者が数人がかりで挑んで、ようやく勝てるかどうかの規格外の化け物。それが、スタンピードの波に乗って地上へと上がってきてしまったのだ。


「ひ、ひぃぃ……勝てるわけねえ!」「全滅だ、俺たちはここで死ぬんだ!」


 ボスの放つ圧倒的な殺気の前に、さっきまで奮起していた探索者たちが一瞬で戦意を喪失し、ガタガタと武器を取り落として腰を抜かす。戦場を支配したのは、抗いようのない『死』の気配だった。


 ジ・アースが、その巨大な結晶の右腕を無造作に振り上げる。

 ただの腕のひと振りが、大気を爆破するほどの衝撃波を生み出し、バルトや周囲のベテラン探索者たちを一撃で遥か後方の壁へと吹き飛ばした。


「がはっ……!?」「ウ、ウソだろ、ギルマスが一撃で……!」


 防衛線の崩壊。

 逃げ惑う人々の叫び声が響くなか、ボス魔物の冷酷な紅い眼光が、最前線にポツンと残された、白パーカーの少女へと向けられた。


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