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孤高の狩人はやがて皆の希望に   作者: 白狐 緋宵
大氾濫(スタンピード)勃発! 最前線の孤高の狩人

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不屈の咆哮、拳骨のマスター



 防壁がロックゴーレムの一撃によってメリメリと粉砕され、戦場に悲鳴と硝煙が吹き荒れる。

 雫の放った神速の一矢が敵の先頭を木端微塵に粉砕したものの、破壊された防壁の穴からは、後続のマンティスや中級魔獣たちが次々と牙を剥いて雪崩れ込んできていた。


「ひ、ひぃっ! 防壁の右側が完全に手薄だ!」

「もうダメだ、前衛が崩されるぞ!」


 満身創痍の探索者たちが武器を落とし、パニックを起こしかけたその瞬間――。


「ガタガタ抜かすんじゃねえ、色気づいたガキどもがァァァーーっ!!」


 戦場全体を震わせるほどの、凄まじい怒号が響き渡った。


 ドゴォォォォンッ!!


 突進してきていた中級魔獣の顔面に、文字通り『生身の拳』が叩き込まれ、巨体が真横へと激しく吹き飛んで壁に激突した。

 凄まじい衝撃波を伴って現れたのは、上着を脱ぎ捨て、体中の無数の傷跡を露出させたギルドマスター――バルトだった。大柄な体躯から放たれる圧倒的な威圧感に、逃げ惑っていた探索者たちが一瞬で目を奪われる。


「ギ、ギルマス……!? なんで最前線に!?」


「当たり前だろうが! 俺の庭で魔物どもが好き勝手に暴れてんのを、黙って見てられるタチじゃねえんだよ!」

 バルトは拳に溜まった魔力をパチパチと爆発させながら、ぎろりと周囲を睨みつけた。


「武器を拾え、探索者バカども! 背中を見せて逃げ出す奴は、俺がこの拳でダンジョンの底まで殴り飛ばしてやる! 死ぬ気で盾を構えんかい!」


 元上位探索者としてのバルトの不屈の咆哮が、満身創痍の探索者たちの心に再び火をつけた。

「お、おおぉぉ!!」「やってやるよクソッタレがァ!!」と、崩壊しかけていた前衛陣が奇跡的な結束を取り戻し、再び魔物の大群へと肉薄していく。


「……あのゴリラ、すごく、強い。……声も、大きい」

 至近距離でバルトの拳撃を見た雫は、おとなしめの無表情のまま、少しだけ感心したようにぽつりと呟いた。


「雫ちゃん、ゴリラじゃなくてギルマスだからね!? でも……よし、私たちも行こう、雫ちゃん!」

「……うん。澪、私の左、お願い。……右は、あのゴリラに任せる」

「だからゴリラって言わないの!」


 澪が紅蓮の剣を引き絞り、雫の死角へと滑り込む。

 バルトが豪快な拳で敵の前衛をぶち抜き、澪が進化した洗練された剣技で漏れ出た敵を正確に討ち取り、そして中央からは雫の『百射百中』の神速の矢が、中級魔物たちの急所を容赦なく撃ち抜いていく。


 ギルマスの参戦によって、戦況は完全に盛り返したかに見えた。

 しかし――雫の持つコモンスキル『野性直感 Lv.4』が、大地の底から響いてくる、先ほどまでとは全く質の違う【絶対的な捕食者】の足音を、誰よりも早く感知していた。


最後まで見てくださりありがとうございます

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