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孤高の狩人はやがて皆の希望に   作者: 白狐 緋宵
大氾濫(スタンピード)勃発! 最前線の孤高の狩人

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咆哮の地鳴り、決壊の防壁



 第一波の魔物たちが完全に沈黙し、戦場に一瞬の静寂が訪れた。

 周囲の探索者たちが「やったか……?」「第一波を凌ぎ切ったぞ!」と歓声を上げ、安堵の息を漏らす。


 だが、隣に立つ澪の肩を、雫は無表情のままグイと強く引っ張って自分の背後に隠した。


「……澪。だめ。まだ、お祝いじゃない」

「え……? 雫ちゃん?」


 雫の持つコモンスキル『野性直感 Lv.4』が、大気の激しい拒絶反応を捉えていた。

 次の瞬間、地下大空洞の奥底から、先ほどとは比べ物にならない、空間そのものを爆破するような凄まじい「咆哮」が轟いた。


『――グオォォォォォォォンッ!!!!』


 ビキビキ、と強固な石造りの要塞の壁に亀裂が入る。

 あまりの音圧と悍ましい魔力の波動に、周囲のC級探索者たちが耳を押さえてその場にバタバタと頽れた。


「ひ、ひぃっ……なんだこのプレッシャーは!? 第一波の奴らとは魔力の格が違いすぎる!」

「第二波だ……! 中級魔物の群れが来るぞォ!!」


 赤黒い霧を吹き飛ばしながら姿を現したのは、全身を硬質の岩肌で覆われた巨大な魔獣――『ロックゴーレム』と、鋭い鎌を持つ『マンティス』の軍勢だった。

 その数、およそ数百。数は第一波より少ないが、一頭一頭が街の建物を容易に破壊できるほどの破壊力を持った、中層エリアの主たちだ。


「前衛! 防壁を死守せよ! 奴らを一歩も通すな!」

 指揮官の怒号が響くが、探索者たちの心にはすでに恐怖が伝染していた。


 ドガァァァァァンッ!!


 先頭を走るロックゴーレムの巨体が、ギルドが誇る魔導防壁へと正面から激突する。

 強固なコンクリートの壁が、まるでおもちゃの粘土細工のようにメリメリと音を立てて砕け散り、激しい土煙が戦場を包み込んだ。


「う、嘘だろ……防壁が一撃で破られたぞ!?」

「逃げろ! こんなの受け止めきれるわけねえ!!」


 頑強な盾が破壊されたパニックにより、防衛線が一気に崩壊しかける。

 魔獣たちの容赦ない爪と牙が、逃げ惑う探索者たちへと振り下ろされようとしたその瞬間、土煙を切り裂いて、一条の神速の矢が虚空を穿った。


 ズドォォォォンッ!!


 放たれた矢はボウリングの球のように、突進していたロックゴーレムの巨体を正面から木端微塵に粉砕し、背後の魔物たちをも巻き込んで爆発した。


「……丸太より、少しだけ、硬い。でも、私の矢のほうが、強い」


 白パーカーのフードをなびかせ、雫は無表情のまま、若干のタメ口を交えて静かに弓を構え直した。その黒い瞳の奥には、美月との約束を守るための、絶対に退かない強い意志が宿っていた。


最後まで見てくださりありがとうございます

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