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孤高の狩人はやがて皆の希望に   作者: 白狐 緋宵
大氾濫(スタンピード)勃発! 最前線の孤高の狩人

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紅蓮の剣、地獄の証明

名前変えました



 雫の放つ神速の矢が、前方の魔物の津波を真っ二つに割り、凄まじい爆音とともに消し飛ばしていく。だが、数千を超える大群のすべてを、たった一人の弓だけで完全に抑え込めるわけではない。


 爆煙の隙間をすり抜け、雫の死角である左右の防壁の影から、十数頭のダークウルフが牙を剥いて飛び出してきた。


「しまっ――前衛、カバーに回れ!」

 ベテラン探索者が叫ぶが、下級魔物とはいえ、スタンピードで狂暴化した獣の速度は凄まじい。一瞬で最前線の防壁を飛び越え、無防備な雫の横顔へとその爪が迫る。


 だが、その鋭い爪が白パーカーに届くよりも早く――。


「――そこは、通さないって言ったでしょ!!」


 鋭い制止の声とともに、一本の美しい紅い軌跡が虚空を裂いた。


 キィィィンッ!!


 激しい金属音が響き、飛びかかっていたダークウルフ3頭が、無惨に一刀のもとに両断されて地面に転がった。

 そこに立っていたのは、数ヶ月前までの弱腰を完全に捨て去り、地獄の修行を経て生まれ変わった赤髪の剣士――澪だった。


「なっ……動きが見えなかった……!? あの赤髪のガキ、確かまだC級の新人のはずじゃ!」


 周囲の驚愕を余所に、澪の瞳にはあの『剣聖ガルガ』のもとで叩き込まれた戦いの景色が、冷徹なまでにクリアに映り込んでいた。


(ガルガ師匠の木刀に比べたら……この魔物たちの突進なんて、止まって見える……!)


 澪が愛用の剣を逆手に持ち替え、一歩を踏み出す。

 ガルガの地獄のシゴキによって最適化された魔力循環が、彼女の身体能力を極限まで跳ね上げていた。


「『初級剣技 Lv.4』――旋風!!」


 スキルが発動し、澪を中心に鋭い烈風の刃が渦巻く。

 左右から回り込もうとしていたアーマードゴブリンの集団が、その一撃に巻き込まれ、分厚い盾ごと容赦なく切り刻まれていく。


 泥臭く、けれど一瞬の無駄もない、洗練された一撃必殺の剣技。

 ただ雫の後ろを歩くだけだった少女は、今や堂々とA級の背中を預かるに相応しい、一流の盾官ファイターとして戦場に立っていた。


「……ん。澪、すごく、かっこいい。惚れ直す」

「ひゃんっ!? ちょっと雫ちゃん、戦ってる最中に何言ってるのぉーっ!?」


 至近距離で矢を番えながら、無表情のままストレートなタメ口で口説いてくる雫に、澪は不覚にも顔をカッと赤くしてデレてしまう。

 だが、その動揺すらも集中力に変え、澪は迫り来る魔物の首を次々と刎ね飛ばしていった。


 2人の完璧なコンビネーションの前に、絶望的だったはずの第一波の魔物たちは、完全に蹂躙されていく。

 しかし、戦場に集う探索者たちが勝利を確信しかけたその瞬間――ダンジョンのさらに奥底から、第一波とは比べ物にならない、悍ましい漆黒の魔力の奔流が防衛線へと押し寄せてくるのを、雫の『野性直感』が冷酷に察知していた。


最後まで見てくださりありがとうございます

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