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黒い翼のジャンキー・ジャンクス  作者: 甘音ぴんく
8/9

思惑とチャンス

魔法犯罪対策室から帰った翼は 1人 半地下の自室に籠り

次の手を考えつつ 状況を整理していた


1 侵略を目的とした火星人が地球に入り込んだ

2 火星人の目的は“銀河系の征服”である

3 銀河系にある惑星のほとんどは 既に火星人が入り込んでいる

4 火星人は何らかの方法で その星の住人に成り代わる

5 本物の住人の安否は不明

6 惑星間の条約によりヒーローは火星人に手を出すことが出来ない

7 火星人に手を貸している地球人がいる


「まずは 自分の住む星に 謀反をしかける不届き者を 暴かねばならん」


頭を働かせる為 糖分を摂取する名目で

お気に入りの 棒尽きキャンディーを咥えると

翼は 本棚の前に立ち

上から2番目の棚の 左端にある 深緑の背表紙に手をかけた

その分厚い背表紙を ゆっくり手前に引く 本棚から出るはずのそれは

本棚から出ることなく 本の下 本が置かれている板に軽く沈み

カチッ と小さな音を立て 隠し扉の鍵を開けた


本棚を奥に押し開けると

そこには ジャンキー・ジンクスの秘密基地が有り

地球上に存在している全てのヒーロー ヴィラン達の情報が揃っている

それは 翼が自分の足で集めた情報であり

全ては 忠誠を誓う姫を護るためである


「地球を護る事が使命であるヒーローが 星を捨てるとは思えんが……」


ヒーローとヴィランは 言わば 光と闇

光が強ければ 闇を照らすことも出来る が

闇が強ければ 光は 闇に呑まれるのだ


闇に呑まれれば ヒーローも ヴィランと成り得る


「……いや」

それは “最悪の事態”であり

一度ヒーローを目指した翼にとって 考えたくもない事であった

だが 翼の思いとは裏腹に ヴィランと化すヒーローは存在し

翼は そんな元ヒーローヴィランを 片端から潰しているのだ


「ヒーローがヴィランと化した所で このジャンキー・ジンクスが制裁を与えているのだ 元ヒーローヴィランに 星を売る暇など有るものか」


ならば ヴィランの内の誰かなのか

それとも 非能力者の悪意なのか


非能力者であった場合 例え悪意に満ちているとはいえ

一般人が異星人とコンタクトを取ることが出来るのか


ヴィランの内の誰がである と考えるのが無難であろう


翼は そう結論を出した


「だが 相手がヴィランとなると そう簡単に白状するとも思えん」

これがヒーローであれば 拳を突きつけ 能力にものを言わせ

少々……では有るが 力付くで白状させることが出来る


だが


ヴィラン相手となると そうはいかない

悪どい者は 頭も良い

言葉巧みに人を騙す者は 人の心理を付いてくる

真っ直ぐ突っ込んだところで 見透かされて かわされる

ヴィラン同士の闘いは 心の内を読まれた方が負け なのだ


力こそパワー! だとか言うヴィランの相手は 別だが……


大物ヴィランは大抵“知能派”なのだ

そして おそらく

裏に居るのは 大物ヴィランだと思われた


元ヒーローヴィランが相手なら どんなに楽だった事か……

そう思いつつ ヴィランの資料を手に取る

既に 黒幕の候補を3人に絞っていた


翼は 資料に目を通していく


1人目は 闇の支配者 イヴルゲイト

闇に紛れ 影を操り 恐怖で人を支配する男


2人目は 有毒女帝 ポイズンミスト

黒と紫のゴスファッションに身を包み その美貌と毒で 人を痺れさせる女


3人目は 悪の天才科学者 Dr.クォーレル

機械とゲノムでアンドロイドを造る マッドサイエンティスト


3人とも 一筋縄では行かない 大物ヴィランで

潜伏場所を知っているものは居らず 翼も例外ではなかった


「候補を絞り出したは良いが コンタクトを取る方法がない」

こればかりは どうにもならん

翼は秘密基地から部屋に戻ると 本棚の扉を固く閉ざし

新しい棒尽きキャンディーを咥えると 部屋を出た


「おう息子 やっと部屋から出てきたのか」

翼の父 大翔は ヒーローであり カメラマンでもあった

「いくら呼んでも出てこないから ちょっとした撮影会だったぞ」


大翔の向かいの席に座った女の子は

撮ってもらった自分の写真を眺めていた


花鶏(あとり) 来ていたのか」

待たせた様だな すまん

「翼のためなら アトリは いつまででも待つの」

翼のためを思うと 待っている時間さえも愛おしい

花鶏は にっこり微笑んで 大翔が撮った写真を 嬉しそうに見せた

「アトリ かわいいでしょ?」

「ああ 上手く撮れているな」

「そりゃあ そうだろう!なんせこの父はプロだからな!俺の腕も良いが なんと言ってもモデルが」

「そんな事より 翼」

「そんな事……!?」


「アトリが毎日 毎日 大好きな翼の話をするものだから お母様ったら翼に会いたいって言うの それでね 翼 お母様が翼を お茶会に呼んでおいでって言うものだから アトリ 翼を迎えに来たのよ」

「そうか わかった それなら“そちらに合わせた服装”でなければ行けないな 支度をしてくるから もう少し待っていてくれ」

自室に戻る翼を 花鶏は笑顔で見送った

父である大翔は 翼の後ろから付いて行き 翼と共に部屋に入ってきた

「ちょっと待て翼……!あの子の母親って言うと……」


「有毒女帝 ポイズンミスト」


「有毒女帝と言えば大物中の大物だぞ」

「毒耐性は鉄人から取得している」

「だとしても 何が有るがわからん」


翼は 花鶏に合わせゴシックな衣装にさっと着替えると

趣味ではない為 今まで箪笥の肥やしになってはいたが

翼に似合うからと ゴシッククラシックを見立ててくれた姫に

改めて感謝をした


「ヴィランの懐に自ら飛び込む事は自殺行為である と翼は重々理解している しかし これは 謀反をしかける不届き者を見極める またとないチャンスなのだ これを逃がす手はない」

「だとしても 父は お前が心配だ」

「案ずることはない父よ 相手は“娘の恋しい相手を見極めるため”お茶会に誘ってきた 今は相手も 翼の正体がわからない状態だ そんな状態で 大物ヴィランが 下手な手を打つとは思えん」

「それはそうだが……」

父の言葉を最後まで聞くことなく 翼は自室から出ると

リビングで待つ花鶏の元へ向かった


「……こういう服は 切る機会があまり無いのだが……」

「素敵よ翼 翼は何を着ても素敵だもの」

花鶏は 嬉しそうに 行きましょ と翼の手を引いた

翼は花鶏に身を任せていた

父は2人を玄関まで付いて行くと 気を付けろよ と一言添え見送った








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