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釣りと幻想の物語〜僕の異世界冒険釣行〜  作者: 久保田akkun
第九章 燃え上がれ!真夏のヌーフェス編
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それでもラビ親分は

再びラビを偵察に出して、今度はゴブリンを部下にされても困ってしまう僕は、ソロソロ…と慎重に、スキル[隠密](スニーキング)を用いて、先行偵察をしている。


木々の隙間、夏らしい木陰を抜ける山の風を身体全体に感じながら振り返ると、ライミリルへと続く海岸線と、キラキラ光る海がとても綺麗だった。


上を見てみると、シルカが[飛翔](フライト)で浮かびながら、山頂の方を指差しながら手を振っていた。


「…いたか。」


シルカは、ゆっくりとみんなが待っている中腹の方へと戻って行く。


身振り手振りで「気をつけて。」と言っている様だった。


尚も僕はゆっくりと木々をすり抜けて、慎重に龍頭山を登って行く。


山の山頂付近へと近付くと、急に霧が濃くなったのだが、山頂に到達すると谷状に亀裂があり、風が吹き抜けていて視界が晴れた。


その亀裂の底、20m程下の平坦になっている所に、ソイツは丸まって寝転がっているのだった。


「ホント…リアルに怪獣だよ…。」


眼前には丸まった状態で、僕の2階建ての実家程もあるブルードラゴンが鼻息で砂埃巻き上げながら寝息を立てている。


後頭部へと真っ直ぐ尖った2本の角、スラリと伸びた首、蜥蜴の様に閉じた下瞼、折り畳んだ大きな両翼、そして全身を覆う煌めく濃い蒼色の鱗。


それは正に王道とも言える姿形のドラゴンだった。


「…さて…と。」


僕はこの怪獣をどうやって穏便にスルーするかを考える。


ブルードラゴンの動向に気を付けながら、キョロキョロと辺りを見てみると、山頂を越えて走っている亀裂の途中に、簡単に飛び越えられそうな6〜7m程の幅の場所がある事に気がついた。


「…あそこからなら、思いっきりジャンプする事も無いだろうし、大きな音を立てる事も無いかな?」


そこまで独り言を言って、6〜7mをジャンプする事が対した事ないなんて、とてつもない運動能力を身につけたんだなー、と、少し苦笑いする僕であった。


ブルードラゴン様、頼むから起きてくれるなよ〜…と願いながら、僕は踵を返し、みんなの待つ龍頭山の中腹へと戻って行ったのだった。



…。



「先制攻撃チャ〜ンス!」


みんなの元へと戻って状況を報告すると、ラビ親分はオーガロードの頭をペチン!と平手ではたきながら、悪そうな笑顔でそう言うのだった。


「ダメで「アタシ達の全力で寝込みを攻撃すればさ〜!絶対にやっつけられるよ〜!!」


…また食い気味に僕にダメ出しを言わせないラビさんです。


「ガァ!ガァ!!」


「ガルル。(姉御達が協力してくれれば、部下達の仇がとれる!だってさ。)」


ラビを肩車したまま、オーガロードは嬉しそうに跳ね回っているが、僕はオーガロードを制す。


「いや、ダメだ。」


そう言う僕を見たラビは、頬っぺたをプクーッ!と膨らませて僕に突っかかる。


「なんで「ラビはブルードラゴンを相手に絶対に勝てると言える?…僕はパーティメンバーの誰がいなくなるのも嫌だ。」


今度は僕がラビの反論を遮る様に言うのだった。


「…でも〜。」


「リューの言う事は最もだよ?私達は少し強くなったから気が大きくなっちゃってるのもあるから、慎重に行動した方が良いと思うな。」


「エリカも、リューさんとシルカさんの言う事が正しいと思いますよ?」


シルカとエリカにも説得されたラビは、それ以上の反論は出来ずに、落ち込んでオーガロードの頭頂部へと視線を移す。


「…うん、わかった。」


ハスキーがオーガロードにもその事を伝えると、残念そうではあったが、仕方なさそうに頷いているのだった。



…。



再び僕が先頭に立って山頂を目指す。


コッソリと谷底を覗き込んでブルードラゴンが未だグッスリと就寝中なのを確認すると、僕はハンドサインで後続のみんなにGOサインを送る。


先ずはシルカとメメントが空間窓ごとフワリと亀裂を越えると、その後ろをハスキーが軽くピョンと飛び越える。


シルカが此方を伺うので、ブルードラゴンの様子を見た僕は、まだ大丈夫!と、ハンドサインを送る。


シルカはエリカの方を見て頷くと、エリカはフワッと舞う様に跳躍して、音も無く亀裂の向こうへと着地した。


最後にラビとオーガロードにハンドサインをシルカが送る。


ブルードラゴンを睨みつけて悔しそうにしているオーガロードを見たラビが、フルフルと震えるていたが。


「…リューちん!みんな!ゴメン!アタシ…親分として、どうしても仇をとってやりたい〜!!」


「ちょっ!?」


ラビは背中に背負ったダンデリルメイスを手に取ると、亀裂に向かって飛び込んで行く!


叫んだラビの大声に反応したブルードラゴンは目を覚まし、首を上げた瞬間。


ドゴンッッ!!…と、ブルードラゴンの頭部が谷底に叩きつけられる!


僕達が口をパクパクさせて、その様子を見ていたが、ラビはやってやったぜ!!と言わんばかりの笑みを浮かべていた。


…が、やはりそんなに甘い訳がなかったんだ。

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