表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/102

第三十五話 野盗退治

 

 野盗達がどよめいた。


 ハルは手枷を壊し、華奢(きゃしゃ)な身体のハルが、こぶし一撃でハーゲンを倒してしまった。


 手枷には魔力妨害の魔石が埋め込まれているため、魔法は使えないはずなのに、魔法を連続で射ち続けた。

 そして足枷の重しいとも簡単に引きちぎり、目にも止まらぬ速さで野盗の一人を蹴って剣を奪った。


 どれもこれも、ありえない事を目の前で見せられた野盗達は混乱気味だった。

 いや、御者(ぎょしゃ)や護衛達も理解が追い付いてこなかった。


「たいした魔法じゃねえ! やっちまえ!」


 (かしら)の一言に我にかえる野盗達、再び向かってくる。

 馬から落ちた野盗は長剣を片手に斬りかかってくる。――――が、剣の鍛練(たんれん)などしないであろう野盗動きは無駄が多く、そして遅かった。


 最初の一人目は大きく振りかぶったため、振り下ろす前に横をすり抜けて横っ腹を斬る。剣を振りかぶって下ろすまでが遅い。普段ヨハン刀術道場の五本の指に入る生徒や、達人であるヨハンと比べたらへなちょこである。

 流れるような動きで斬撃を受け流し、無駄な動きを一つもすることなく、次々へと野盗を斬っていく。


「いいでえ!」


「きっ! 斬られた!」


 命に関わるような傷ではないが、それでも料理で指を切ったなどのレベルではない。

 傷からダラダラと垂れる血が痛々しい。

 狙おうと思えば首の動脈を狙って、斬り殺すことも可能であったが、やはり無意識に殺すことを避けてしまっていた。


 最初にかかってきた三人の腕や足を斬ったことで、野盗達の動きが止まった。


「つ、つよい……」


「か、頭! やっぱりあのガキ変ですって! 逃げましょう!」


「くっそ! だらしねえやつらだ!」


 黙って観ていた護衛達に、ある変化が起きていた。


「おい、あの少年がいれば残りの野盗達を倒せるんじゃないか?」


「ああ、俺も考えてたところだ。野盗を追い返して誰か一人でも捕まえれば、報酬金もポイントもかなり増えるしな」


 野盗達がハルの強さに浮き足立っている今がチャンスとばかりに、護衛八人は立ち上がり野盗達に襲いかかった。ハルに注意が向いていた野盗達の不意をつき、二名の野盗を倒すことに成功した。

 これで無傷の野盗はあと十名ほどになり、数の脅威はなくなっていた。


 そして護衛と野盗の大乱戦が始まった。

 さすが護衛依頼を受ける人達だ。一対一なら負けることはなさそうだ。


 そんな中、護衛の後ろから不意をつき、襲いかかる野盗を見つけた僕は野盗の顔に水弾(スイダン)を射ち、よろめいた所をすかさず距離を縮め野盗の腕を斬り、深い傷を負わせた。


「少年助かったぜ!」


 助けた護衛の人は僕にお礼を言って、他の野盗に向かっていった。


 その時、僕は異様な()()を感じて、咄嗟に前に転がり避けた。後ろを確認すると、僕の立っていた場所の地面から炎が噴き上がった。シルビアが使っていたファイアウォールだ。

 規模はそれほど大きくないが、人一人を丸ごと飲み込むくらいの大きさはあった。


「くそっ! 避けられた!」


 どうやら野盗のリーダーがファイアウォールを使ったようだ。

 悪態をついたリーダーは僕に向かって何かを複数飛ばしてきた。受けるより避けた方がいいと判断した。


「うっ!」


 しかし避けきれなくて一つが足に当たってしまったようだ。

 傷口を見ると血などは出ていなかったが、小さな鉄串のようなものが刺さっていた。


 僕の足に刺さったのを確認した野盗のリーダーは声に出し喜んだ。


「ハッハッ! やった! 勝った! ざまああみろお! それは即効性の痺れ薬を塗ってあるんだ!」


 それを聞いた僕はさすがに焦った。いくら神様の力が凄くても動けなければやられてしまう。


 満足げに、いやらしい顔をする野盗のリーダーはゆっくり僕に近づいてくる。


「俺様に歯向かった事をあの世で後悔しな!」


 野盗のリーダーは僕に向かって剣を振り下ろした。


 しかし、振り下ろされた剣を紙一重で避けてリーダの手首を掴んだ。


「なっ!? 痛っ! いだだだだだだだ!」


 そして手首を強くひねり、骨の折れる音が響いた。


「ぐああっ!」


 前屈みに崩れ落ちたリーダーは僕を睨み付けた。


「くそガキがっ! なんで動け――――」


 野盗のリーダーが何か言い終わる前に、リーダーの顔を蹴り飛ばし何メートルも飛び転がっていった。……やりすぎたかな?


 リーダーから即効性の痺れと聞いたときは、やばい! と思ったが、全然痺れが来なかった。

 神様が僕に分け与えてくれた力には、痺れなど効かないのかもしれない。


 …………あれ? もしかして手術とかするとき麻酔効かないんじゃ……。




「か、頭がやられた!」


 その言葉を聞いた野盗達は、ぐったりとした意識のないリーダーを見て、戦意を失い降参する者や走って逃げる者様々だった。


「勝ったぞおお!!」


「「「「うおおおおおお!」」」」


 護衛達の勝ちどきの声があがった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ