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家まで来たのはいいですが、ここからどうしようか少年は悩みました。

紙飛行機のためにわざわざチャイムを鳴らすのはめんどくさいと感じたのです。

あまりコミュニケーションが得意ではない少年は玄関に向かうのはやめて、庭に入り、空いている窓の真下まで近づきました。

人影は少年が近くにきても声をかけようとはしませんでした。

空いている窓側の庭にやや太い樹が数本並んでいます。電飾のような飾りがない葉がついていない樹でした。

少年はそのうちの一本をよじ登り始めました。

その一連の流れは実に器用で慣れた身のこなしでした。

やがて窓の向かい側までたどり着きました。少年はようやく窓にいる人影と対面しました。


(・・・子供か)


年の頃は10歳ほどでしょうか。前髪を花形のピンで横に止めています。

肩くらいまでの黒髪は冷たい風に揺れ、黒い瞳はまん丸に見開いています。

愛らしい少女はどうやら木登りしてきた少年に驚いているようです。

しばらく沈黙の時間が続きます。少女も少年も相手の方からなにか言うと思っていました。


「・・・これ、お前のか?」


沈黙に耐え切れなくなり、少年が口を開きました。

幼馴染の少女は元気で明るい性格のため、物静かな少女の様子にどう対応していいのか困惑していました。


「あ・・・はい。ありがとうございます」

「・・・いや。勝手に木登りしてきて悪かったな」


紙飛行機を少女に渡しました。これで少年の用事は終わりです。

木登りしたことに対して謝罪をし、降りようとしました。


「あ、あの!!名前はなんですか?」

「・・・は?」


突然少女が大声をあげて名前を聞いてきました。


「私はあゆみといいます!あなたは?」

「・・・カイト」

「そうですか。カイト君ってよんでいい?」

「・・・好きにすれば。突然なんだ?」

「カイト君、少し私とおしゃべりしませんか?」

「・・・少しなら」

「ありがとう!」


少年・カイトの名前を知った少女・歩は嬉しそうに笑顔を浮かべます。

その無邪気な様子にカイトは歩の願いに少しだけ付き合ってやろうという気になりました。

まだ幼馴染の少女との待ち合わせ時間に余裕はあります。

カイトは13歳です。相手が年下なこともあり、無下にはできませんでした。


「カイト君は外人さんなの?灰色の髪だもん」

「・・・日本人じゃない。この国には用があってきた」

「そうなんだ~。その髪すてきだね」

「はぁ?おれのこの髪、変だろ?」

「え?別に変じゃないよ。雪が降る雲の色と同じだもん!」

「・・・雲の色ねぇ。おまえ、変わってんな」

「え!?変わってるなんて初めて言われたよ!」


歩は他愛無いおしゃべりが楽しいのかにこにこしています。

その笑顔にカイトは居心地が悪いようです。

ぶっきらぼうな自分との話のどこが楽しいのか理解できませんでした。

まだおしゃべりが始まったばかりですが、彼はもう去りたくなっていました。


「カイト君はクリスマス好き?」

「・・・嫌いだ」

「そうなの?なんで?」

「あんまりいい思い出がないからな」

「・・・そっかぁ。私は1度だけいい思い出があるなぁ」


歩の目がどこか遠くを見つめています。




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