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甘やかされた妹に姉は限界だった。  作者: 鈴木べにこ


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1−2.

 ベスタは自室のベットの上に仰向けで倒れていた。



「わたくしは何の為に生まれてきたのでしょうか・・・。」



 ベスタはたくさん泣いて泣き腫らした目で天井を見つめていた。



「やはりわたくしがお母様に嫌われているのはお母様の末の妹に似ているからでしょうか・・・。」



 ベスタは噂程度にしか詳しくは知らないが、母リーニャには下に妹が2人居たという。



 代々続く名誉あるレイヴァーンズ公爵家には3人の娘がいた。


 将来女当主となる長女リーニャ。


 次女はリーニャの双子の妹のミレーニャ。


 末の三女はベスターニャという名だった。


 何故噂でしか母リーニャの下の妹2人について知られていないかというと、リーニャが学園を卒業した年に不慮の事故で妹2人は亡くなったとか・・・。


 リーニャは妹2人を失った悲しみのあまり、妹2人の話は禁句になったとか・・・。


 亡くなった妹2人の姿が描かれた肖像画は公爵家の屋敷に一つも無く、以前屋敷で働いていた者達も口を噤んで何も話さなかった。


 だがある日、前当主が屋敷に孫達に会いに来た時、孫のミレーに向かってポツリと呟いた言葉が--


【リーニャの双子の妹にそっくりだ。】


 の、たった一言だけだったがその場にいた使用人はそれを全員聞いていた。


 そして使用人達は推測した。


・現当主リーニャが長女ベスタよりミレーを可愛がっている理由は、ミレーは自分の双子の妹にそっくりだから。

・もしかして現当主は末の妹ベスターニャと不仲だったから、末の妹に似てるベスタに冷たいのだろう、と--。


 ただの噂で推測だとしても、どの噂も信憑性があるように感じられた。


 なぜなら現当主リーニャは亡くなった2人の妹にちなんだ名前を娘に付けているし、母は長女ベスタには厳しく冷たく、次女ミレーは何しても怒られた場面を見たことなく甘やかされていた。


 だから姉妹で格差のある態度に、屋敷で働く従者や社交界に出ている貴族全員がリーニャはベスタを嫌っていると思っていた。


 噂を信じている全員の中にはもちろん当事者の姉妹であるベスタとミレーだって入っており、姉よりも愛されていると自信に満ちたミレーはさらに我儘し放題だった。


 そして使用人達も表面上は平等に仕えているふりをしてベスタをバカにしていた。


 ベスタをバカにしている使用人達はベスタに仕える担当になると手を抜いたり誰の仕業か分からないように嫌がらせをしていたのだった。


 その嫌がらせにはベスタの婚約者であるアレックス・グレイシス伯爵令息も加担しており、アレックスはミレーと浮気を堂々としてた。



「誰がわたくしを当主に相応しいと思っているの?誰にも必要とされていないのに・・・。」



ベスタの部屋はパッと見華やかで貴族令嬢らしく豪華な部屋に見えるが、よーく見ると物が少なく、所々埃がつもり家具には傷が付いている。


 何故ならミレーと使用人達が勝手にベスタの物を盗み持ち出したり、使用人達は掃除をサボり、掃除をしたとしても雑に掃除をして家具を傷つけたりと酷い扱いを受けていたからだ。


 もちろん物を盗まれたり掃除をサボったりするだけには留まらず、お風呂に冷たい水を張ったり、ドレスが破かれ汚されたり、料理にも塩辛スパイスを大量に入れられたりと使用人達から日常的に嫌がらせを受けていた。



「公爵令嬢なんて名ばかりの奴隷だわ。」



 この家に生まれて良かったと思った事はベスタには一度もなかった。


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