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1-2「東の英雄side」

気が付けば、母の腕の中にいた。

この俺、もと東の英雄は、前世よりは少し裕福な家庭に生まれ落ちたようだった。

前世を思い出したのは、3歳のころ。

物心がつくにつれて、少しずつ前世の記憶が蘇っていた。

そして、完全に記憶が戻ったのが、今日。6歳の誕生日。

ついに、愛の神さまのせいで、こうなったのだという所まで思い出した。


西の英雄は、まだ前世を思い出していないようだが、元気にやっている。

なぜそんなことを知っているのかと言えば、隣の家に住んでいるからだ。

アイツとは相変わらずケンカばかりであるが、会えば挨拶を交わすくらいの仲だ。

前世の記憶がないからか、ちょくちょく俺をイラつかせていた不遜な態度は鳴りを潜めている。


そんな訳で、そこそこな日常を送っている俺なのだが、1つ問題がある。

それは、俺が女子になってしまっていたことだ!

愛の神さまのいたずらか、両親の願いが叶ったのか、俺は女として生を受けた。

なんでかな?良くないよね?え、俺、もと英雄なんだけど。

両親の過保護で木剣も持たせてもらえないし。

いや、常識的には正しいんだけどさあ!

なんか、なんかなあ。

西の英雄は普通に男なのに!

どうしようもないのは分かっているけれど、どこかに抗議をしたい。


だけどやっぱり無理なので、仕方ない。

せめて、俺が東の英雄であったことを、西の英雄にだけは隠し通そうと決めた。

顔の作りは前世と同じだが、幸いにも、髪や瞳の色は今世の両親から受け継いでいるし、声変わりもない。

もしアイツが前世を思い出しても、知らんぷりを続ければ、東の英雄のことなど頭の隅に捨ててくれるだろう。


まあ、俺もついに6歳。

あと数か月もすれば小学校に入学出来るので、アイツに会うことは減るだろう。

小学校に行くなら、逆に会うのではないかと思うかもしれないが、そんなことはない。

アイツの家は確かに隣だが、地区が違うので、小学校も違うのだ。

しばらくは平穏に暮らせそうである。

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