1-3「西の英雄side」
オレには幼馴染がいる。
ヤツは隣の家に住んでいて、親同士の仲がめちゃくちゃ良いこともあり、小さいときはよく遊んでいた。
それを聞けば、仲がよさそうだと思うかもしれないが、全くそんなことはない。
パッと見は普通の女子なのに、馬鹿力で、ケンカをすればすぐに手を出してくる、そんなヤツである。
しかも、先に殴ってきたのはヤツなのに、謝るのは毎回オレなのだ。
両親曰く「女の子に手を上げるのは良くない」ということらしい。
もっともではあるが、大変不本意だ。
いや、家に帰ったら、ヤツも両親にこっぴどく怒られていたようだが。
そうでなければ、オレの腹の虫も収まらないしな。
オレとヤツは小学校も中学校も違ったので、しばらく会っていないが、今は流石に喧嘩っ早い性格は治っているだろうか。
なぜオレがそんなことを気にしているのかと言えば、もう少しで高校に進級するからである。
しかも、ヤツも同じ学校に。
一応オレは、小中学校で優等生の部類であったのだが、ヤツがいては、自分自身、心穏やかに過ごせる自信がない。
高校は今までとは違い、留年や退学もあるらしいので、なるべく大惨事になることだけは避けたいのである。
そして、オレにはもう一つ懸念点がある。
それは、オレとヤツの名前が被っていることだ。
正しくは発音が少し異なるのだが、微々たる差である。
ここまでくると、オレの両親とヤツの両親の仲良し加減が恨めしい。
特に小学生の時は、近所の子供によくからかわれたものだ。
流石に高校生にもなってからかってくるやつはいないだろうが、ヤツの名前と呼び間違えられるのは腹立たしい。
ちなみにヤツの名前がイータで、オレの名前がエータである。
・・・・・・いや、マジで親同士の仲良すぎだろ!!




