0-2「東西の英雄とマリー王女」
ーー時は過ぎ、東の英雄と王女が婚約してから1週間が過ぎようとしていた。
「西の英雄さまあ♡マリーと一緒にお出かけしましょう?」
「王女殿下。わたくしめなどの事はお気になさらず。どうぞ、東の英雄殿とお出かけください。」
「いえいえ。婚約者だからといって、遠慮はいりません。どうぞ王女殿下は、西の英雄とお出かけ下さい。」
「「・・・・・・。」」
東西の英雄は、無言でお互い目を合わせ、牽制しあう。
王女は我儘なので、厄介だ。
ただでさえ結婚式の準備で忙しいのに、王女に付き合わされるのは、かなり面倒である。
そのため、東西の英雄は元々不仲な事もあり、罪のなすりつけならぬ、面倒ごとのなすりつけ合いをしていた。
この2人がどのくらい不仲なのかというと、件の怪物との戦いで、お互いを怪物に喰わせようとするほどである。
どうにもそりが合わないようで、顔を合わせれば、すぐにケンカを始めてしまう。
ただし、英雄同士が実力行使をすれば、止められるものは誰もいないので、(戦場以外では)手だけは出していないようであった。
「ほら、東の英雄もこう言っているし、マリーと西の英雄さまだけで行きましょう?」
「すみません。わたくしは、王女殿下と東の英雄殿の護衛ですので。王命を受けた者として、東の英雄殿から離れる訳には参りません。」
「ええ~。わかったわよ。じゃあ、3人で行きましょう。それなら文句はないでしょう?」
せっかく話がまとまったところではあったが、3人の心境は最悪だった。
まず、王女様。
「せっかく、西の英雄さまと二人きりになれるチャンスだったのに!!ああ、本当に東の英雄は邪魔ね。」
次に、東の英雄。
「チッ。西の英雄め。猫かぶりやがって。いつもは俺の護衛なんて、死んでも嫌がるくせに、こういうときだけ王命を持ち出すのはずるいだろ。やっと王女殿下と離れられると思ったのに。」
最後に、西の英雄。
「王女様はお出かけを諦めてくれなかったか。まあ、東の英雄だけ王女様から解放されるなんて事にはならなかっただけ、マシな方か。」
そんな中で出かけた結果、3人とも久々の城下町であったはずなのに、楽しいことは何もなく、たったの2時間ばかりで戻ってきてしまった。
その内、移動時間は1時間53分である。
本当に、何をしに行ったのだろうか・・・・・・。




