表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/109

VSウルトラエレファン

 朝から狂ったようにシャドウ・タイガーを狩りまくると、16時を回ったころにレベルが上がった。


『――青宮 翼のLVが31へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


(うし。また2体フロアボスがいるから、1体目に挑むとするか)


 移動した先――密集していた木々がなくなり、円状に開けたエリアがあった。

 その中へと足を踏み入れると、中央に大きな青い魔法陣が浮かび上がる。

 その光が弾けるのと同時に、巨大なフロアボス――ウルトラエレファンが姿を現す。

 全長は10メートル越え。

 灰色の肌の、長い鼻に白く長い牙。

 見た目は地球にいるゾウに似ていた。

 もっとも、デカすぎて比べ物にならないくらいに、迫力と威圧感があるが。


「ここまでデカいと、さすがに怖いな」


 ステータス補正があるとはいえ、本能的に大きなものと戦うのには勇気がいる。


(かなりのパワーがあるらしいし、的がデカいから魔法を打ち込みたいが……残念ながら、魔法にはかなり強いらしいんだよな)


 耐性どころか、あらゆる魔法攻撃をそのまま反射させるという特性があるのだ。

 一応、その反射させるバリアすら破壊する威力があれば、問題ないらしいが……その具体的な威力については、検証が難しいのか、データベースには書かれていない。青宮の魔法が破壊できるかどうかは賭けになるので、魔法は使わない方針だ。

 新しく取得した範囲魔法が跳ね返ったら、さすがに無事でいられる自信がない。


「パオォォォォォンっ!!!」


 高いラップ音のような鳴き声と共に、こちらへ接近してくる。

 ずどどどどどどど、とすさまじい地響きが鳴った。


「迫力ありすぎだろ……!」


 ステータス補正があるとはいえ、自分より何倍もデカいバケモノを相手するのは恐ろしい。

 ウルトラエレファンはその長い鼻を、青宮めがけて振り下ろした。

 高い俊敏を活かして回避――そこから、数手攻防が生まれる。

 青宮が回避し、ウルトラエレファンが下がりながら鼻を振り回す。

 懐へ潜り込まれるのを嫌っていた。

 青宮はその隙を見逃さない。

 鼻による攻撃をかいくぐり――足元へと接近。

 ウルトラエレファンが足を上げ、ズドオオオオオンッ!!! と、思いっきり振り下ろした。

 当たれば確実に踏みつぶされる破壊力。

 回避した青宮の体が跳ねた。


「っ、そこだっ!」


 ようやく反撃に転じた青宮が、カウンターで一閃。

 硬い皮膚の感触があったが、刃は通り、確実にウルトラエレファンの足を傷つける。

 ラッパ音の鳴き声が響くも、怯まずに何度も足でこちらを潰そうとする。


「くっ……!」


 足を振り下ろされるたびに、心臓が縮むかのようだ。

 それくらいに緊張感がある。

 殺される虫は、人間がこういう風に見えてたりするのだろうか。

 そんなことを思った。

 だが――こちらは、ただの虫なんかではない。

 ウルトラエレファンを傷つけるパワーを確実に備えていた。

 太い足からは、血が流れている。

 青宮は回避を最優先としながらも、ひたすら斧を当て続ける。

 やがて――ウルトラエレファンの足が、崩れていった。

 迫りくる巨体から逃げ、青宮はウルトラエレファンの顔めがけて∞ウェポンを全力で振り下ろす。


「おらぁ!!!」


 ズドンッッッッ!!! と、重い全力の一撃が決まる。

 頭蓋を砕かれたウルトラエレファンは、全身が伸びた。

 やがてその体は少しずつ消えていき、紫色の魔石へと変わっていく。


「はぁ、はぁ……やった、か」


 全身、汗に濡れた青宮は地面の上で大の字になって伸びる。

 ダンジョン内の夜空が、視界に映った。


『――青宮 翼のLVが32へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――青宮 翼のLVが33へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


 格上ボーナスが強くなってきたのか、一気に2つも上昇する。

 さらにスキルLVも上昇していった。


『――ベルセルクがLV6へ上がりました』


 ベルセルク LV6

 消費MP50。自己強化スキル。攻撃力、俊敏を110%上昇。魔力を20パーセント上昇。”HP、防御、精神を10%上昇”。効果時間は7分、クールタイム10秒。


 だが……青宮の表情は、あまり嬉しそうではなかった。


(強いボスだったけど。この程度でギリギリじゃ、話にならない)


 アメリカにいるナンバー1、桐澤 揚羽はこのボスを瞬殺するのではないだろうか。

 冒険者協会で見た彼女のステータスは、そう思わせるほどに、強力なものであった。

 そして推定される収入は、なんとウン十億なのだという。

 たった1人で、それほど多くのエネルギーをまかなえるということなのだろう。


「最高じゃん」


 不敵な笑みを浮かべる。

 社畜時代じゃ絶対に不可能な収入。

 這い上がってやろうと思い、あのクソ会社を辞めたのだ。

 ブラックな冒険者業界だと思ったが、ようやく、成り上がりの目途が立つ。


「あの女を超えるくらい、強くなってやる」



 なにもかもが、真っ黒な空間であった。

 闇。混沌。

 縦も横の感覚も無くなるような、無限に広がる虚無。


「さて――準備は整いました」


 虚無を歩く女性は、右手を伸ばす。

 指先に波紋が広がると、空間がゆっくりと歪んだ。

 その先には、平和な街並みと人々の姿が映る。


「さあ、青宮 翼。また素敵な姿を、私に見せてちょうだいね」


 頬を赤く染め、歪んだ笑みを浮かべ――四之宮 京子は、呟いた。


「今回は少し頑張らないと。人類、めちゃくちゃになるわよ?」


 彼女の背後――ビルのように巨大な、ドス黒い卵が脈動している。

 まるで、何かが“生まれる瞬間”を待ち望むかのように。

 京子は振り返り、そっと卵に触れた。


「ねえ……あなたも楽しみでしょう?」


 卵の表面が、どくん、と大きく脈打った。

EP76「メイジリザード」にて斧術LV5→6へ上昇している描写を追加しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ