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シャドウ・タイガー狩り

 ノルマがないので、青宮は朝早くからソロで第六層のシャドウ・タイガーを狩っていた。

 好戦的な今回のモンスターの性質もあり、戦闘回数の密度がかなり高く、気が抜けない。

 しかしその分、効率的に力を高められていた。

 狩ったシャドウ・タイガーの魔石を回収しつつ、携帯で時間を確認。


「ん? もう12時か」


 常に夜のような明るさの階層なので、時間の感覚が狂う。

 アイテムボックスからゼリー飲料を取り出し、☆20秒チャージ☆をする。

 冒険者によっては昼休憩のために外へ出る者もいるが、効率(?)重視の青宮はそうしない。

 削れる移動時間は徹底して削り、狩りの時間を少しでも増やすのだ。


「お、来たか」


 食後、すぐにゴソゴソと音がしたので∞ウェポンを構える。

 次の瞬間、三方向から黒い影が跳ねた。

 足音の間隔、風の流れ、殺気の濃度――すべてが一瞬で脳に流れ込む。

 青宮の魔力が爆ぜた。


「アクア・ランス!」


 水槍が地を裂き、飛びかかる影の一体を貫く。

 残る二体は左右から挟み込むように迫るが、青宮は一歩踏み込み、斧を横薙ぎに振り抜いた。

 第六層に慣れはじめてはきたが、敵の接近をかなり許してからじゃないと反応できない現状は変わらない。

 高い攻撃で無理やり突破出来た第五層と比べると、緊張感があった。

 そうして体に疲労感を覚えながらも、休みなく狩りを続け――16時。

 システム音が青宮の成長を告げた。


『――青宮 翼のLVが29へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――炎魔法のLVが7へ上がりました。“フレイム・ストーム”を習得しました』


『――水魔法のLVが7へ上がりました。“ウェーブ・ストライク”を習得しました』


「攻撃魔法が成長したか」


 名前からして、ついに範囲魔法のような気がした。

 青宮は基本前衛のステータスだが、後衛においても高水準の性能を満たしている。

 現に合同ダンジョン攻略の際は、後衛をずっと任されていた。

 しかし一方で、物足りなさも感じている。

 青宮がイメージする後衛は、RPGのメイジ。

 メイジは大抵、豪快な範囲攻撃をするのが定番だ。

 モンスターをまとめて撃破し、ボスに大ダメージを与える。

 対して、青宮が使っていた攻撃魔法は、中級魔法のイメージであった。

 大したことはないな、とずっと思っていた。

 どうせ魔法を習得するならば、圧倒的な火力であってほしい。

 なので、意味があるかはわからないが、意識して攻撃魔法を使っていた。

 その成果なのか、LV7へ上昇し……範囲魔法と思われる新たな力を得た。


「よし。ちょっと試し撃ちをしてみよう」


 まだ帰らないんですか、といつも通りながらも、抗議するかのように、∞ウェポンの宝石部分がピカピカと光った。

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