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いつもの残業、第六層

 すでに20時を回ってダンジョンへ入室しようとすると、職員が「まーた、こいつか……」みたいな顔をしたのがやや気になったが、青宮はダンジョンのワープポイントへと向かう。

 そしてメニューで第六層を選択し、次のステージへと足を踏み入れた。


「大自然だな……」


 熱帯地域を彷彿とさせる、森であった。木々の1本1本の背丈が50メートル以上と高く、シダ類のような植物が高密度に生えていて、視界が悪い。

 それに加えてここの空は夜空で固定されている。月の光は強いものの、辺りは薄暗い。

 少し歩きづらいなと思いながら進むと、ざざざざざ、となにかが駆けている音が聞こえた。


「さっそくか……容赦ないな」


 足音は徐々に近づいてくる。

 まるでこちらを獲物として、追い込んでいるかのよう。

 そして植物の影から――それが、現れた。

 大きな、黒い毛の虎。

 シャドウ・タイガーだ。


「っ、あぶねっ……!」


 ベルセルクを発動させた後、後ろへ跳躍。

 青宮がいたところに、牙を剥いた大きな虎が突っ込む。

 筋肉質な四肢。

 肉食獣らしい、鋭く威圧的な眼。

 威風堂々たる毛並み。

 第六層に出てくるモンスター……シャドウ・タイガーは群れて行動をする。

 そしてその最大の特徴は、冒険者を積極的に狩ろうとするところだ。

 ダンジョンにはある程度安地のようなものがあったりと、近づかない限りは襲われたりする確率は低い。

 だが、このシャドウ・タイガーは常にダンジョンを駆け巡り、冒険者を獲物として探し回る習性がある。

 よって第六層は休憩すらも油断のならない、安地なきダンジョンだ。


(まだ来る!)


 植物が揺れると、そこからシャドウ・タイガーが2体突撃してきた。

 ものすごい跳躍力。

 そして口からダガーのごとく覗く鋭利な牙に嚙まれたら、大きなダメージを負うだろう。

 青宮は1体1体の動きを見ながら、2回後ろへ飛ぶ。

 シャドウ・タイガーの攻撃を回避し、左手を上へ掲げた。


「――フレイム・ランス!」


 炎魔法を発動させ、炎の槍が手前にいた2体のシャドウ・タイガーを焼く。

 強力な魔力により、2体は悶えて耐えようとするも、やがて体を焼き尽くされ魔石へ変わる。


「ゴォォッォ!!!」


 炎を突き破って飛び出してきたシャドウ・タイガーに、∞ウェポンを握る力が強くなる。


(中々に速いな。そうこなくっちゃ!)


 斧を構えた瞬間には、迷いがなかった。

 青宮は斧を一閃し、強烈なパワーによるカウンターで対処。

 シャドウ・タイガーの顔面が刃で潰れ、横払いによって、左へふっ飛ばされ木に激突。

 そのままシャドウ・タイガーはぐったりと倒れ、魔石へ変わった。


『――青宮 翼のLVが28へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


「うし。どんどん敵が来てくれるのは、効率が良くて素晴らしいな」


 青宮は夢中になって狩りを続けた。

 協会に戻ったのは23時で、職員は「また遅くまでやっているよ、こいつ……」みたいな視線を向けたのであった。

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