冒険者団体ネクスト・イノベーション
13時過ぎ。第五層にて、荒木の兄が率いる冒険者団体ネクスト・イノベーションの合同ダンジョン攻略が開かれる。
スマイル・アドベンチャーからは、青宮と荒木の2人が参加だ。
協会のフロアにて、4人のネクスト・イノベーションの男達が、青宮へ名刺を渡した。
「はじめまして。合同攻略プロジェクトにアサインされた者です。この業界のレガシーをブレイクスルーした青宮 翼さんのお時間をいただけて、光栄です。共にイノベーションを起こしていきましょう」
名刺を受け取る。
(やっぱり想像通り、意識高い系か)
なんでこう意識高い系は、横文字が好きなのだろうかと、不思議になる。
そして男に代わって、貞雄もあいさつに来る。
「今回、私もジョインするものの、後方で待機しようと思います」
「まあ、荒木のお兄さんが参加したら、リザードマンなんて秒殺ですからね」
「おや、出来損ないの弟もいましたか。足は引っ張るなよ、荒木 良治」
変な空気になりながら、受付を済ませ奥へ向かう。
途中、青宮が荒木へ聞いた。
「兄弟の仲は悪いんですか?」
「俺は勘当(※親子の縁を断ち切ること)されています」
また広げづらい話である。
「色々あったんですね」
「はい。ですが、仕事はします。身内の事情は現場へ持ち込みません」
(まあ、そんな頑張らなくてもいいと思うけどな。茶番みたいな会だし)
合同ダンジョン攻略の目的は2つある。
表向きは冒険者業界の連携・関係性の強化。
しかしそれは建前だろう。
真の目的はPR。
現に貞雄はメールで、青宮を名指ししていた。
スマイル・アドベンチャーを四之宮派へ取り込みたいのだろう。
「さて、現場に到着しました。ここからはオペレーションを実行フェーズに移行します。フロントラインは私たちと荒木さんで担当し、青宮さんにはバックラインからの魔法攻撃でリザードマンを削っていただきます。残存ターゲットについては、我々がフォローしてクローズします」
名刺を渡してきた男が、テキパキと作戦を説明する。
青宮は適当に頷いた。
「いいんじゃないか? いいですよね、荒木さん」
「……リーダーに従う」
「じゃ、それでお願いします。ああ、俺の魔法はそこまで広範囲じゃないので、出来るだけ敵は中央に集めてもらえると、漏らしが減ると思います」
こうして、作戦がざっくり決まっていく。
荒木を含めた、冒険者団体ネクスト・イノベーションの5人を前衛に進み、後衛に青宮と貞雄。
そしてリザードマン3体と接敵した。
5人は剣、槍、盾など各々武器を手にして、盾持ちのリザードマンと戦闘を開始。
攻撃をしても、リザードマンによる盾の守りで、ダメージを与えることはできない。
そして良いタイミングでシールドバッシュされ、吹き飛ばされる前衛が何人かいた。
しかし大きく前線が崩れることなく、リザードマン達は徐々に追い込まれていく。
「フロントライン、バック! 青宮さん、魔法攻撃でクリーンアップを!」
3体が固まったところで、青宮はベルセルクを発動し、フレイムランスを放った。
炎の槍が、3体のリザードマンの体を貫き、焼き尽くす。
炎が晴れた瞬間、リザードマンは魔石へと変わった。
冒険者団体ネクスト・イノベーションがざわつく。
「一撃……」
「すごい威力だ」
「俺達もコミットしていかないと」
「ああ」
「トランザクションはなしで。青宮さんの魔法攻撃を中心に、フレキシブルに動こう!」
「「「「アグリーです!」」」」
荒木は頭上に“?”が浮かんでいた。
(あ、あぐりー? とらんざくしょん? ふ、ふれ……コミットはかろうじてわかるが、なにを言っているのか、さっぱりだ)
荒木は隠密系のステータスをしているが、高い俊敏を活かして前衛で引きつける役もこなすことができる。
なにかと器用な人だなと、青宮は思った。
「我々のギルドはどうですか、青宮さん」
貞雄がニコニコ笑顔で近づいてくる。
青宮を取り込もうと思っているのが、バレバレだ。
「優秀なメンバーだなぁ、と」
「私は、部下にエンパワーメントを施す体制を作っているのでね。プロアクティブにエビデンスを残すように、彼らは意識しています」
(前にもいたんだよなぁ、こういう喋り方のやつ……頭痛くなってきたな……)
漆黒魔竜ノ組といい、四之宮派は個性的なギルドばかりである。
音有 互角です。
ビジネス現場で出てくる横文字並べてみましたが、はたして使い方が合っているのか……。(汗)




