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三つ巴の後継者争い

 ギルドマスター会議の後、各候補者はPR動画を提出するなど、ギルドや協会職員へ積極的にアピールをした。

 連日のお家騒動の後に起きた、この“後継者争い”に世間の目も注目している。

 世間的には、リークした本人である獅子山への期待が高まっていた。

 SNSでも、時期会長は獅子山がふさわしいだろうという意見が多い。

 現状は“獅子山派”が有利だ。

 “四之宮派”はリークされた側の派閥であり、彼らが後継者になった場合、世間からの風当たりが厳しくなる、という明確なデメリットがある。

 しかし彼らには、四之宮に継ぐコネクションがあった。

 まず、荒木 貞雄は大規模な会食を開いた。

 とある野党の政治家と共に、握手をする姿がテレビによって報道される。


『――連日報道される冒険者協会のリーク。不信が募る中、荒木 貞雄氏は○○党の党首を会食へ招待し、今後の方針を討論しました』


 昼。スマイル・アドベンチャーの青宮、荒木、樹、姫咲、乾、白井、先輩リーダーの7人は事務所に集まり、ソファに座りながら、モニターでテレビの報道を見ていた。

 貞雄は握手の映像の後、記者の質問に堂々と答えている。


『――厳しい状況に立たされたと、痛感しています。まずは国民のみなさんとのラポールをマストとし、誠実な運用を目指していこうと考えています』


 青宮はなるほどな、と頷く。


「四之宮の正当な後継者って感じだな。政治家との握手をすることで、繋がりが強いことをアピールしてる」


 樹は首をかしげていた。


「……ら、らぽーる? ってなに?」


「信頼関係」


 青宮が即答する。

 社畜時代、やたら横文字やらビジネス用語を使いたがる奴がいたので、慣れたものであった。

 樹はため息をつく。


「日本人なら、日本語喋ってほしい……」


 映像は次の候補者、猪塚 静恵へと移る。

 こちらはフェミニスト団体と共に、街でジェンダー平等の活動をしているものであった。

 記者からの質問にも答える。


「獅子山氏も、荒木氏も、そして革命をもたらした青宮氏も、冒険者協会のパトリオキーを増長させるだけです。これではかつての、男性中心の冒険者協会へ戻ります。今こそ、女性を中心に! 我々女性こそが、リーダーとなるべきです!」


 青宮はううむ、とうなる。


「この人自体はただのツ○フェミだけど。“四之宮派”から候補者が2人出ているということは、連中の統率力が失われたのは、明らかだな」


 今度は姫咲が首を傾げる。


「あの……ぱとりおきー? ってなんですか?」


「男中心に作られた社会構造のこと」


 またも青宮が即答する。

 姫咲は目を丸くした。


「青宮さん……すごいです……」


 そして最後に、獅子山の映像へと切り替わる。

 彼はスタジオに来ていて、タレントからの質問に毅然とした態度で答えていた。


『――起きてしまったことは、仕方のないことだと思っています。重要なのは、未来です。なぜ、こうなったのか。どうすれば、改善されるのか。問題と1つ1つ向き合い、優秀な冒険者達と共に信頼回復に努めます』


(良い意味でも、悪い意味でも普通だな)


 青宮の考えだが、獅子山は本来、革命を起こすようなタイプではないのだろう。

 どちらかというと、保守的な性格の持ち主である印象だ。

 もっとも、現状はそれどころじゃないので、リーダーとして全体を引っ張ってもらうしかない。


(ネットで調べる限りでは、獅子山さんが有利。ただ、リーク以外のインパクトが弱いのも事実。四之宮並の“コネクションと狡猾さ”がある、意識高い系の荒木。女性中心という揺るがないキャッチフレーズのある、○イフェミの猪塚)


 三つ巴の後継者争い。

 中々に白熱しているなと、青宮は分析した。


「……リーダー。そろそろ時間だ」


 荒木が腕時計を見た後、そう告げる。

 青宮はこくりとうなずき、立ち上がった。


「よし、みんないこう」


 この後の予定は決まっている。

 獅子山、貞雄、猪塚の3人は緊急でとある会を開いた。

 合同ダンジョン攻略――ギルドの垣根を超えた、大仕事だ。

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