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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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ギルドマスター会議 後編

「青宮くん。私は四ノ宮会長の考えを全て継ぐというわけではない。例えば、君が毛嫌いしていたアーツファイトはマストで解体するつもりだ。そこは約束しよう」


 が、これには青宮が引かない。


「四之宮さんが行方不明な今、裏で手を引いている可能性があります。“四之宮派”が上に立つのは危険なのでは。同じ過ちを繰り返すだけです」


「それは言いがかりですよ。たしかに我々のリーダーは四之宮様でした。が、報道にある通りに、彼女は不正が多いのも事実でした。しかし我々がそれらにコミットしているわけではないですし、全てのベクトルが同じというわけではありません。そうですよね、猪塚さん」


 貞雄が眼鏡をくいっと上げ、フェミ旅団の猪塚へ話を振る。


「そうですね。四之宮様のおかげで、女性冒険者がたくさん増え、アメリカへ行った現在のナンバー1冒険者の座を女性が獲得したことは、とても誇らしく思います。ですがわたくしは女性の味方であって、四之宮様の味方というわけではありません。青宮さんもそこを理解していただけると、幸いです」


「そもそも、青宮さんの疑いは我々の対立をより深くするものなのでは? 会長がいなくなった今、派閥のことは忘れ、お互いにアライアンスを組んだ方がいいのではないでしょうか?」


 青宮は首を横に振った。

 口先では筋の通ったことを言われているので、苦しいところだ。

 しかし四之宮派に時間を与えるわけにはいかない。


「さっき獅子山さんに“あなた如き”と発言したのは、荒木さん。あなたですよ。派閥にとらわれているから、そのような発言が出たのでは」


「私は派閥争いとして、獅子山さんを批難しているのではありません。青宮さん、あなたは獅子山さんを過剰評価していますよ。私が彼を信用していないのは、彼のリーダーシップの弱さです」


 52歳の獅子山よりだいぶ年下なのに、ボロクソ言っている。

 さらにそこへ、猪塚が加わった。


「わたくしも、獅子山さんはトップにふさわしくないと思います。いい年して独身男性で、犯罪者予備軍です」


(おい。なんかむちゃくちゃ言ってるぞ、こいつら。てか、大丈夫かこの業界)


 が、獅子山は軽く肩をすくめ、怒った様子がない。


「時間をとるのはいいんじゃないか? PRする期間があると、より平等な結果が出るだろう」


 青宮は内心でため息をついた。

 普通、ここまで言われたらなにか言い返すものだ。

 しかし獅子山はこういうところで、引っ込んでしまう性質のようだ。

 前のギルドマスター会議や、実況席などでは大胆に発言していたが、劣勢になると前へ出ないのだろう。


(四之宮がどんどん強くなった理由が、この会議に詰まっているな)


 四之宮のイエスマンばかりで、ノーと強く言える人間がいない。

 現にこの場で発言している者のほとんどが、猪塚、貞雄、青宮だ。

 かつてのギルドマスター会議がどんなものだったかは、想像するに容易い。


「では、総選挙はもう少し後にするということで、よろしいでしょうか」


 理事長がこちらをちらりと見る。

 青宮は渋々、首を縦に振った。


「期間はどうされますか? 俺は早い方がいいと思いますが」


「そうですね……4日後に総選挙とし、それまでの間にPRをするというのはいかがでしょうか」


(4日後か……正直、不安だな)


 短期間であっても、やはりPR期間は不利になる気がした。

 しかし組織として、上の人間の入れ替えを素早く行うことは不自然だ。

 4日後で妥協するしかないだろう。


「私は構いませんよ」


 貞雄が言うと、他のギルドマスターも同意した。

 理事長がほっとした表情を浮かべる。


「それでは4日後に、次の会長を決める総選挙を行います。ギルドマスターのみなさま、今後ともよろしくお願いします」

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