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赤鬼退治

 第五層の魔物を狩りながら奥へ進む。

 青鬼を倒した今、次の標的は――第五層の最終フロアボス、赤鬼だ。

 時刻は19時。

 青鬼の時と同じ、重々しく威圧感のある巨大扉が行く手を塞いでいた。

 手を触れると、ゆっくりと左右へ割れ、冷たい空気が流れ込む。

 中は静寂。

 誰もいない――そう思った瞬間。

 真後ろに魔法陣が展開し、赤い閃光とともに巨体が飛び出した。

 青鬼と同じ体格。しかし肌は焼けるような赤。

 握られた黒棍棒は、まるで鉄塊そのものだ。


「奇襲が好きだな、お前ら」


 ベルセルクを起動。

 青い光をまとった斧を振り返りざまに構え、棍棒を受け止める。

 ズドンッ! と、全身に重圧が叩きつけられ、床がひび割れた。

 ギギギギ……と金属が軋むような音を立てて競り合う。

 だが、青宮の表情は微動だにしない。

 斧を振り切ると、赤鬼の巨体が弾かれた。


「ぐおおっ!?」


「ステータスは青鬼と同じくらいか。もう苦戦する相手じゃない」


 青宮が一歩踏み込む。

 その一歩が、まるで地面を砕くような重さを持っていた。

 振り下ろされる斧は、質量と速度を兼ね備えた“暴力”そのもの。

 赤鬼は二度、三度と棍棒で受け止めるが――追いつかない。

 胸元へ鋭い一閃。


「ごぉぉぉおおおおっ!!」


 壁へ叩きつけられた赤鬼の体が、赤い炎に包まれる。

 炎が弾けると、傷一つない姿で立ち上がった。


「グオォォォ!!」


「五回倒さないと終わらないんだよな。復活系は、ただの時間稼ぎで面倒だ」


 青宮の言葉通りになった。

 怒涛の接近戦。

 赤鬼は棍棒を振るうが、青宮の斧がそれを上回る。

 倒すたびに炎へと変わり、復活。

 復活には一分ほどかかり、炎を攻撃しても無意味。

 場所を変えて再生を繰り返すだけだ。

 しかし戦況は変わらず、時間を食う。

 赤鬼の復活は時間稼ぎとなっていた。


「復活、もっと早くしてくれ。時間は有限なんだ」


「グオオオオオオッ!?!?」


 何度復活しても、赤鬼は青宮に叩き伏せられる。

 本来なら長期戦を覚悟すべき相手。

 だが今の青宮にとって、第五層はもはや“通過点”でしかない。

 そして5回目――最後の復活。

 赤鬼の体を包む炎は、先ほどとは違う。

 濃く、重く、強力な魔力を孕んでいた。


「ゴオオオオッ!!」


 最後の復活時のみ発動する切り札。

 赤鬼の攻撃力が跳ね上がる。

 棍棒が横薙ぎに振り払われる。

 空気が悲鳴を上げるほどの速度。

 だが――。


「遅い」


 青宮はすでに背後へ回っていた。

 斧が閃き、赤鬼の巨体を断ち切る。

 赤い体は崩れ落ち、魔石へと変わった。


『――青宮 翼のLVが27へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


(実力差があっても、レベル上昇が早いのは助かる。適正レベル基準で経験値が入る感じなのだろうか)


 第五層の推奨レベルは40後半。

 そして次の第六層は推奨レベル50以上だ。


(よし。まだまだ突き進むぞ)


 青宮は静かに息を吐き、第六層へのワープポイントへ移動を開始した。

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