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幕章2「後継者問題」

 会議で使ったのとは別の、山奥の別荘へと身を隠している四之宮は、自室でテレビを見ていた。


(青宮 翼……素敵だわ。素敵すぎて、体がとろけるほどに熱くなっちゃうわ。彼の力は予想以上。悪魔ごときでは不足なほどだった)


 大きな黒い革のチェアに座り、ふふふ、と微笑む。


「あらあら、みんな大混乱ね」


「アーツファイトでの派手な試合に、大量のリーク情報暴露。それによる派手な炎上……彼は恐ろしい男ですね。お見事と言わざるをえません」


 右斜めの位置に置かれたチェアに腰かけた、30代前半の男がそんなことを口にした。

 知的そうな顔立ちに、180を超える身長。

 黒髪はオールバックで、シルバーフレームの眼鏡をかけている。

 冒険者協会のナンバー3――()() 貞雄。

 四之宮派であり、その中でも側近とも言うべきポジションにある。

 故に彼は、四之宮の“正体”も知っていた。

 さらに言うと彼は、スマイル・アドベンチャー所属、荒木の兄である。


「もう少し人間で遊びたかったけれど。もう私には、居場所がないようね。後、任せられるかしら?」


 四之宮派の中でも信頼の厚い貞雄ならば、四之宮派も何人かは納得して味方する。

 後継者候補、その内の1人だ。

 貞雄は頭を軽く下げる。


「お任せください。が……事態は非常に、難しい状況だと思います。私のブランディングをもってしても、あなた様の“後継者”となるのには、障害が大きすぎます。そもそも現状、冒険者協会そのものが信頼されていません。さらに後継者候補は告発した獅子山か青宮の2人がもっとも近いかと」


 貞雄は経営もしており、起業した会社の社長なのだ。

 うさんくさい……ではなく、有益な情報教材を提供する業務をしている。

 また、オンラインサロンも開いており、その参加人数は5000を超えていた。

 知る人ぞ知る、有名な経営者。

 それでいて冒険者としても優秀で、ナンバー3。

 当然人気は高く、SNSでのフォロワーは10万人を超えている。


「信頼がないのなら、それを取り戻せばいいのよ。簡単な話」


「と、言いますと」


「なにか大きな成果を残すのよ。大衆が注目している今こそ、もっとも挽回できるチャンス」


 四之宮は微笑んだ。


「ダンジョンブレイクを、この日本で“起こす”わ。そしてあなた達で、災害を沈めるのよ。もっとも活躍した者が――私の、後継者となる」





 部屋を出た貞雄は、ため息をついた。


「ダンジョンブレイク、ですか。やれやれ、これから忙しくなりそうです」


 メガネをくいっと上げながら、今後のことを口に出して整理する。


「まずは……なんとかして、青宮 翼を“(こま)”にしたいところですね。彼を敵に回すのは怖い。しかし……まあ、ライバルは弱いですからね。この勝負、貰ったも同然です」


 ふっ、と笑みを浮かべた。


「青宮 翼は獅子山を支持しているようですが……あの男には、力がない。私の方がトップにふさわしいことを、見せつけてあげましょう」

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