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幕章1「冒険者協会の崩壊」

 アーツファイト後は青宮、獅子山によるリークがメディア、インターネットを通じて世間へ拡散された。

 経済・インフラを発展させた冒険者協会の失態。

 前回のリークとは比べ物にならない、大炎上となった。

 さらにそこへ、四之宮 京子が行方不明になるという事態まで起きる。

 協会の副会長は普段なにもしない、四之宮に媚び媚びな50代終わりの男であったが、ここぞとばかりに批判の的となった。

 副会長と協会上層部合わせた合計3人で、多くの記者に囲まれながらの会見は2時間にもわたった。

 記者達の問いかけは厳しい。


「週刊〇〇〇です。魔石ショックの音声データが流出しておりますが、このような情報は公表されておりません。これは政府と共に隠蔽をしていた、ということでしょうか?」


「なぜ、この場に四之宮会長が現れないのでしょうか? 逃亡を図ったということですか? 説明責任を果たすべきなのでは」


「アーツファイトによる過剰なヤラセと演出が指摘されていますが、これについてどう思われますか? 選手への襲撃を援助したというのは本当ですか?」


「冒険者へ無茶なノルマを課するなど、労働基準法の違反も指摘されていますが、これも事実ですか?」


「過労死をダンジョン内での死亡と、偽って発表しているというのも事実でしょうか!? 冒険者への配慮はないのでしょうか!」


 さらにはこれにかこつけて、事実かどうかも怪しい質問も飛び交うようになった。


「四之宮会長が○○大臣と過去に不倫関係にあったという報道があります。政府との連携を強めるために、このような不貞行為もなさっていたのですか?」


「アーツファイト襲撃により、後遺症の残った選手が現れたというのは事実でしょうか? 秘密裏に金銭を渡し、和解を計ったと報じられています。これって非合法ですよね?」


 1つだけでもとんでもない爆弾なのに、それがいくつもある。

 まさに闇の組織だ。

 しかし副会長と上層部2人の返答はいい加減なものであった。

 そもそもが、椅子にふんぞり返ったかのような座り方の、偉そうな態度で挑んでいる。


「えー、まずね。いろんな情報が飛び交っちゃっているからね。憶測とか、そういうのを止めてほしいよね。物事には順序があって、事実かどうかの確認をまずしないといけない。四之宮会長は飛んじゃったし、正式な発表は後でやっていくよ」


「後というのは、いつになるのでしょうか」


「今の時間より後ってことだね」


「今回リークした獅子山氏と青宮氏への説明は?」


「あー、彼らね。えー、あれだね。ま、申し訳ないことをしてしまったと、この場で詫びるよ。ちゃんとね、ヒアリングをしてね、後で対応していくよ」


 そして最後には、座ったまま軽く頭を下げた謝罪で会見は締めくくられた。

 この上から目線の態度でさらに炎上したのは、言うまでもない。

 同時に、冒険者協会がいかにブラックな組織かということも知れ渡った。

 そして彼らの“後”というのは“やらない”ということだ。

 結局、彼らと事件の関係者は諸々の刑事責任を問われ、協会から多くの逮捕者が放出される前代未聞の事態となった。

 漆黒魔竜ノ組のギルドマスター、そしてメンバーも大半が逮捕される。


「京子……どこへいっちまんだ……俺を、俺を慰めてくれ」


 映像では、うわ言を呟きながら連行される轟 悪魔が映っていた。

 草壁 森羅万象アースに関しては、連行されながら言い訳をしている。


「ボスと運営の言う通りにしただけだ! 俺は悪くねえし!」


 越谷 女王ティアラは泣いて、被害者ヅラをしている。


「あ、あーし、みんなに脅されて、ああするしかなかったの!」


 ダンジョン法により、冒険者関連のトラブル・事件はある程度司法の権限が与えられている協会だが、その体勢すらも揺らぎかねない大事件だ。

 さらに、関連していたテレビ局からも逮捕者が現れた。


「ちくしょうが、エンタメだろ! おめーらヘラヘラしながら楽しんでたじゃねーか! それのなにが悪いんだよ!」


 ニヤニヤしながらカメラを持っていた男が、連行されながらそう言い放っていた映像が残り、反省の色はゼロであった。

 政治へのダメージもデカい。

 当時の総理、泉口への責任追及もそうだが、当時の彼の内閣は今の与党なのだ。

 今回の件により、野党、マスコミ、そして世間から厳しい非難の的となった。

 様々なやり取りがあったが、泉口がメディアへ発表した言葉がその姿勢の代表であった。


「今回の件ですが、私と四之宮会長との間に、一定の接触があったのは事実です。が、隠蔽は誤解でございます。要求量の情報を共有しただけであり、魔石ショックの計算は協会が独自に行っていたことで、我々政府の計算では魔石ショックが起きず、供給は十分であると判断しています。また、協会へ魔石供給の上昇を促したという事実はなく、冒険者達のみなさまへ無理のない範囲になるよう、配慮をした上で魔石を扱っておりました」


 が、かなり苦しい言い分であるのは明確であり、現内閣の支持率は7パーセントへと転落。

 日本は大混乱だ。

 ニュースは連日、冒険者協会の話題で持ちきりである。

 朝。部屋でテレビを見ながら、青宮は呟く。


「四之宮は間違いなく終わったから、無事に成功か」


 しかし課題は残る。

 冒険者協会は崩壊した。

 今後は、その修正をしていかなくてはならない。


「さて、これからどうなるか……ん?」


 ニュースはここ最近問題になっている、違法賭博へと変わった。

 昨今、大規模に行われているらしく、冒険者協会ほどではないが話題になっている。

 そして何人か逮捕者が出ているのだが……その内の1人の名前に、見覚えがあった。


「20代男、無職……有島?」


 元カノを寝取った男の名前が書いてある。

 警察に連行される映像が、短く流れていた。


「まあ、どうでもいいけど。なにしてんだこいつ」


 寝取り男は自動で、破滅していた。

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