ブレイズオクトパス&クリムゾンスクイッド
「ど、どうも~。青宮くん、どうしたんだい、急に」
余計な手間だが、15時に先輩達のところへ行くと、パーティーリーダーは少し慌てた様子でそう言った。
しっかり休んでいた時だったので、残念ながら今日もサボりモードだったのだろう。
(まあ本当に、気持ちはわかるけどな)
サボリーマンという言葉がある通り、サボるというのはよくある話だ。
それに業界の仕組みがアレなので、モチベ維持が難しいのも仕方ない。
「様子を見に来ただけですよ。リーダーなので」
「そ、そっかぁ」
これ以上は言及せず、青宮は去った。
ノルマ的には荒木はこちらの方がいいが、実力と熱意がエンジョイ勢の先輩達と釣り合っていない。
将来的には、青宮達のパーティーへ入れるべきだろう。
(さて。さっさと終わらせて、強くならないと)
会議から、今日で3日後だ。
先輩達が少し本気を出したのか、ノルマ達成が17時過ぎとなり。
その後の青宮は、第四階層の最後のフロアボスのいるエリアへと向かう。
平原の中で、突如大きく上へ盛り上がった赤黒い丘がある。
急斜面で、登るのには勢いがいる。
ベルセルクを発動させ、急斜面を駆けあがる。
そうして、青い炎をまといながら上へ上がりきると――平らで広々とした丘の中央に、第四階層の主が現れる。
主は、2体いた。
1体は赤黒い、巨大なタコ――ブレイズオクトパス。
もう1体が赤く巨大なイカ――クリムゾンスクイッド。
2体とも全長は8メートルを超え、迫力がある。
青宮を発見すると、複数の足をうねらせ前へと出た。
「見かけのわりに早いな」
間合いに入った瞬間、二体の足が雨あられのように降り注ぐ。
地面が砕け、衝撃で砂煙が舞い上がる。
青宮は強化された俊敏でギリギリの回避を続けた。
だが、回避するたびに皮膚が焼けるように痛む。
視力低下により、視界が霞む。
第四階層特有のスリップダメージが、容赦なく体力を奪っているのだ。
(長期戦は無理だな)
水魔法の習得によって挑むことにしたが、そうでなかったらまだ挑むつもりはなかった。
現に今の青宮は、2体による休みない攻撃で、攻めあぐねている。
さらに距離を放すと、2体は口から熱湯を吐くという特性がある。
これが範囲攻撃で、回避が難しいものになるのだ。
なので、青宮は離れすぎず、一定の距離を保ちながら、魔力を溜め込んでいく。
左腕を天へかかげると――青い魔力が、3メートルほどの長い水の槍を形成した。
「――アクアランス!」
跳躍して回避しながら、水の槍を投げる。
真っ直ぐに飛んだ槍は、ブレイズオクトパスの体を貫いた。
ドスンっ!!! と、地響きと共に巨体が倒れる。
たった一撃の魔法で相方を潰されたクリムゾンスクイッドは、動揺したかのようにあとずさった。
青宮はブレイズオクトパスの上に乗り、∞ウェポンをふり下ろす。
鋭い刃は赤い体を切り裂き、致命傷となる。
ブレイズオクトパスは足をビクビクさせた後、魔石へと変わった。
クリムゾンスクイッドが熱湯を口から吐く。
「1体なら――なんとかなる!」
青宮は勢いよく前へと飛び出し、広範囲にばらまかれた熱湯をかわす。
再び防御の姿勢をとって、戦場を駆けて時間を稼ぎ――クリムゾンスクイッドへアクアランスを放つ。
倒れたその巨体へ、兜割りのごとく∞ウェポンを突き立てた。
刃が赤い体を貫き、衝撃で地面がひび割れる。
クリムゾンスクイッドも、魔石へと変わっていった。
『――青宮 翼のLVが22へ上がりましたHP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
「魔法の威力が少し心配だったが、予想より高威力だったな」
青宮は元々、魔力の伸びが良いステータスであった。
そこへ∞ウェポンの補正がかかり、なおかつ弱点属性の水であったため、第四階層のボスにとって大きな脅威となったのだろう。
しかし余韻には浸れない。
第四階層の熱さとスリップダメージも痛みがキツいのだ。
「うし。これでハードな第四階層ともおさらばだな」
こうして第四階層をスピード攻略し、青宮はこの日の狩りを終える。
アーツファイトまで、あと2日の猶予。
レベルアップのため、明日から第五階層への挑戦を始める。
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