襲撃の後
「こんなのひどいっ! 絶対に許せないんだから!」
奇跡的に生還していたカメラの映像をノートパソコンで再生。
ギルドメンバーみんなで見ると、樹がプンスカ怒っていた。
実際、許されざる行為だ。
ステータス補正もあって乾と白井は回復魔法などの手当で復活したものの、白井は不安そうな表情になっていた。
「これからもこんなことが、続くのかな……」
青宮は首を横に振る。
「もちろん、そんなことにはさせない。ちょうどいいことに、今日はギルドマスター会議だ。この映像も提出する」
乾はため息をついた。
「……動画で、街中で冒険者同士がケンカするのはあったけど。まさか、本当にゲリラで襲いかかってくるとは思わなかったよ」
「悪い意味で、ヤラせナシのガチ企画ってことだな。この調子じゃアーツファイトも、出来るだけ本気で戦わせる企画なんだろうな」
青宮はノートパソコンを操作して映像を閉じた。
「こういうのって、警察とかは動かないのか?」
先輩達のパーティーリーダーが手を上げる。
そんなことも知らないのかと内心で思いつつ、青宮は答えた。
「冒険者の犯罪行為は、ステータス・スキル補正の都合上扱いづらい。警察は自衛のためにステータスを覚醒させているが、当然、ダンジョン攻略は本職じゃない。LVはせいぜい1~3だ。だから冒険者による犯罪行為の取り締まりは、協会に主導権が譲渡されている。“ダンジョン法”のみだが、司法の権限もあるのが協会だ」
しかし状況からして、その協会がいざこざを金儲けやバトルエンターテイメントの道具にしている。
もはや秩序なんてものは、ないに等しいだろう。
「みんなすまないが、外へ出る時は、1人での行動は出来るだけ避けてくれ。連中は見境がない。俺も出来るだけ動くが、協会はこの騒動を推している可能性が高い。すぐに収束というわけにはいかない。理不尽な話だが、自分の身は自分で守るようにしてくれ」
と、ここで解散としよう思ったが――姫咲が声を上げた。
「あ、あのっ。荒木さんを紹介してあげてください……隅の方で、居心地悪そうにしてます」
「え? ああ、すいません、忘れてました。荒木さん、こちらへ」
自己主張が弱いので、つい忘れてしまっていた。
かなり失礼なことをしてしまったと反省しつつ、青宮は荒木がみんなの前へ来ることを促した。
荒木は青宮の隣に立った。
「今日からギルドメンバーになる、荒木さんだ。4年目で、レベルは45と優秀だ。これから大きな戦力になってくれるはずだから、みんなよろしく頼む」
荒木が軽く頭を下げた。
「……荒木だ。これからよろしくお願いします」
言葉少なめで、無愛想であった。
みんなが「よろしくお願いします」と返した。
「どっちのパーティーに采配するの?」
樹の問いに、青宮は答える。
「とりあえず、先輩達の方かな。最近、協会がノルマをさらに上げてきている。樹達よりも、先輩達の方がペースに追いつかないかもしれない」
「お、おお、いいのか?」
先輩達のパーティーリーダーが嬉しそうに声を上げる。
正直に言うと、戦力的な問題である。
樹達の方が、個々の力が優秀で、先輩達はお世辞にも、あまり高いとはいえない。
「はい。荒木さん、頼みますね」
「……了解」
荒木の短い返事。
そして青宮はこれから、ギルドマスター会議へと向かうことになる。
「それじゃあみんな、後は頼んだ」
※修正のお知らせ
2026/05/16
対象 ep44「ステータス、見せて?」
樹のステータスを修正しました。
攻撃魔法LV2→雷魔法LV2へ変更されています。
よろしくお願いします。




