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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第三章「ギルドマスター、青宮 翼」

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漆黒魔龍ノ組《しっこくまりゅうのくみ》

「アンタは……青宮 翼!?」


 ギャルがジリジリと後ずさる。

 対して、大剣を持った男は好戦的な笑みを浮かべた。


「はっ、かしら自らがお出ましか! 上等じゃねーか!」


「待て、アース!」


 大剣を持った男が、青宮へ向かって飛び出す。

 間合いに入った瞬間、その大剣を一気に振り下ろした。

 青宮は∞ウェポンを発動。

 軽い一閃。踏み込みすらない。

 それだけで大剣の一撃は、金属音を残して弾き飛んだ。


「ぐわあああっ!?」


 地面を転がる男。

 しかも青宮はベルセルクを発動させていないため、まだ本気の一撃ではない。

 それなのに、容易くあしらわれた。

 ギャルが冷や汗をかく。


(評判通り……やっぱヤバそうじゃん。ボスじゃないと殺せない)


「あーしら、ちょっと遊ぼうとしただけじゃん? 見逃してくれなーい?」


 ギャルがわざとらしい、媚びた声を上げる。

 青宮は乾と白井の元へ向かった。


「大丈夫か?」


 乾がこくりとうなずく。


「……なんとかね」


 青宮はギャルと男の方へ振り返る。

 そしてちらりと、カメラマンの方を見た。

 その表情はニヤニヤとしていて、しっかりと戦闘の模様を撮影している。

 どうやらこの小競り合いは、見せ物にされているようだ。


(協会から金でも積まれているのか? こいつらは)


 元々好戦的そうな冒険者なので、正式に暴れられる上に、金を貰えるとなったら、血の気が騒ぐ連中だろう。

 青宮はため息をついた。

 本気を出せば2人共返り討ちに出来るが、2人はもう逃げようとしていた。

 メンバーに手を出されて逃がすのは胸糞が悪いが、ここで過剰に攻撃をすれば、青宮の過剰防衛になる可能性がある。

 無論、この荒れた冒険者業界にそこまできちんとした秩序があるとは思えないが。


「お前ら、所属と名前はなんだ。素直に名乗ったら、見逃してやる」


「あ゛あ゛っ!? んだと、こらぁ!」


 大剣を持った大男が前へ出ようとするも、ギャルが止めた。


「アース、お前じゃムリだって。それに必要以上に手を出してみろよ。ボスにヤキを入れられるっての」


「ちっ……おい、青宮 翼ってやつ! これからお前を殺すギルドの名前、よく覚えておけ! 俺達は“漆黒魔龍しっこくまりゅうくみ”、そして俺の名は草壁 森羅万象アースだ!」


「あーしは越谷 女王ティアラ。よろしく~」


 青宮は少しだけ、目を丸くした。


漆黒魔龍しっこくまりゅうくみ……闘争者アウトシーカーが率いるギルドか。マークしてたけど、やっぱりな。協会に金積まれて、利用されるがままに暴れて、情けないギルドだって思わないのかよ?」


「はっ。ザコが、ボスにビビって戦いたくねーだけだろうが! 後ろに隠れねーとなんもできねーのかぁ!?」


(会話が成り立たないな……)


 どうしたってこの草壁という男はケンカしたいだけなのだろう。


「まあ、いい。用が済んだなら、帰ってくれ。抗議は上にする」


「ちっ、ビビりやろーがよ」


「――それと、また手を出してみろ。次は容赦しない


 低い声。

 しかしそこには、たしかな“力”が宿っていた。

 草壁と越谷が一瞬、黙り込み、後ずさる。

 青宮と彼らとでは、実力がかけ離れていた。

 草壁は舌打ちをして、武器を収納し退却。

 カメラマンもそそくさと、足早に去った。

 越谷はムチをアイテムボックスへ入れた後、青宮へウインクをした。


「あーし、強い男好きなんだよね~。ボスほどじゃないけど、お前もまあまあイケてるじゃーん」


「こっちのギルドメンバーに手を出しておいて、よくそんなチャラチャラしたことが言えるな」


「このくらいはあいさつっしょ? 少なくとも、あーしらのシマじゃ常識だし。んじゃバイバーイ、青宮 翼」

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