表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第三章「ギルドマスター、青宮 翼」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/115

フレイムロブスター

 青宮の加入により、ノルマの達成は18時に実現となった。

 しかしノルマの達成がゴールではない。

 冒険、ダンジョン攻略こそが目的だ。

 青宮は第三階層から素早く第四階層へ続くワープポイントへと移動した。


「……よし。いくぞ」


 19時に第四階層へと入る。

 ヒリヒリとした熱さと、赤い空が出迎えた。

 そして今回の階層には2体のボスがいて、その内の1体――フレイムロブスターのいるクレーターの前へと立った。

 くぼみの中央。赤い大地の上には、全長2メートルの4体のミニフレイムロブスター。名前の通り、ロブスターの見た目だ。ただしその皮膚は炎のように赤い。

 その奥には、全長5メートルを超える、巨大なモンスター……フレイムロブスターがいた。

 そしてクレーターを囲むように、赤い光の壁が薄く張られていた。

 この壁は通り抜けることができる。

 だが――この壁の内側は、入った瞬間にタイムオーバーによって発生するスリップダメージが、強制で発動するようになる。

 さらにこのクレーター内では、軽い視界障害の症状まで出るという。


(厄介なギミックだよな)


 第四階層はこのキツさのある、回避がほぼ不可能な仕掛けが冒険者を苦しめる。

 タイムリミットといい、熱さといい、根本的な戦いの“辛さ”というものが含まれているのだ。


(まあ、キツいのには慣れている。それを楽しめるくらいだ。というわけで、突撃)


 ベルセルクを発動し、青い炎をまといながらクレーターを降りた。

 瞬間――体の内側から、焼かれるような痛みが襲いかかる。

 まるで炎症を起こしたかのような痛さだ。

 さらに視界が、視力が低下したかのように、ぼんやりとしていく。

 事前知識がなかったら、突如起きる体の変化に、精神的なパニックを引き起こされそうだ。


「っ、結構、いてぇな……!」


「こぽぽぽぽぽっ!」


 ミニフレイムロブスターたちが、一斉に青宮を囲む。

 そして後ろにいるフレイムロブスターの頭上に、魔法陣が浮かぶ。そこへ二本のハサミを伸ばし、魔力を注入していた。


「どけっ!」


 青宮が痛む体で、∞ウェポンを一閃。

 ミニロブスターのハサミを弾き、反す刃で1体の根本を切断。

 激しい攻防の中で、ボトボトとハサミを斬り落としていった。

 しかしフレイムロブスターの魔法の詠唱は止められない。

 見事な足止めであった。

 フレイムロブスターの魔法陣から、炎の玉が雨のごとく、大量に解き放たれた。

 ドドドドドド!!! と、凄まじい音と熱を放ちながら、その炎はクレーター全体へ降り注ぐ。

 ミニロブスターを巻き込み、土を爆発させた。


「あっ、ぶねぇ!!」


 ベルセルクによって加速した動きでも、圧倒的攻撃面積により回避するのはギリギリだ。

 それに回避しきっても、ヒリヒリとした熱が肌を焼く。

 しかもエリアギミックによって視界がぼやけるため、いつもより動きづらい。炎の玉もやや見えづらかった。

 今の視界は、視力0・2ぐらいだろうか。

 近くの物すら、少しブレて見える。

 さらに……倒れたミニロブスターが消えると、赤い地面の亀裂がぐつぐつと泡立ち、 そこから新たな4体が這い出してきた。

 いずれもハサミを伸ばし、青宮を捉えようと動き出す。


「すぐリスポーンする4体による足止め。詠唱時間があるとはいえ、フレイムロブスターに全体攻撃魔法。そしてエリアギミックによるスリップダメージ、視界障害」


 このまま戦闘を長引かせても、不利になるのは明らかだ。

 攻略のセオリーは、遠距離攻撃でフレイムロブスターの詠唱を妨害すること。

 しかし青宮には遠距離攻撃がない。

 そこで……出来るかわからないが、あることを試みた。


「上手くいくかは、わかんないけどな。視界もボヤけて、よくわからないし」


 まずはいつも通り戦闘。

 4体と攻防を繰り広げ、ハサミを斬り落とす。

 ステータス差があり、ここは青宮が有利であった。

 だが、簡単に突破できるわけではない。

 そうしている間に、またしてもフレイムロブスターの詠唱が大詰めを迎える。

 その瞬間であった。

 青宮は一体のミニフレイムロブスターの尻尾を、左手一本でつかむ。

 そして、高い攻撃力に物を言わせ――弱らせたミニフレイムロブスターそのものを、ぶん投げた。


「ごぽぽぽっ!?」


「ごぽぉ!?!?!?」


 戸惑うミニフレイムロブスターが、慌てたフレイムロブスターに突っ込む。

 ずどおおおおおんっ! という音と共に、2匹は地面に倒れた。

 青宮はミニロブスターを置き、前へ素早くかける。

 フレイムロブスターは倒れたミニロブスターを押しのけ、立ち上がる。

 だが、その動きは鈍い。

 フレイムロブスター本体は、それほど強くない。

 協会のデータによると、ミニロブスターと変わらないくらい。

 ならば――今の青宮にとって、足止めさえなくなれば問題はなくなる。


「終わりだ!!!」


 ずどんっ!!! と、斧による、重い一閃が横に放たれる。

 フレイムロブスターの胴体は真っ二つになり、地面へ倒れた。

 すううううっ、と体は溶け、魔石を残して消えていく。


『――青宮 翼のLVが19へ上がりましたHP+85 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


「よし、レベル19か。っ、けど今は、体が痛いな。早く出よう」


 魔石を回収し、クレーターを出る。

 カウントダウンは始まったが、スリップダメージと視界障害から解放された。


「はあ、はあ……避けられないダメージっていうのは、嫌なもんだな」


 圧倒的な疲労感を覚えながら、青宮はその場でしばらく、息を整えたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ