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第四階層、スピード攻略を目指す

 18時にノルマは達成された。

 さて、定時退社……といきたいところだが、青宮は第四階層へと1人向かった。ツインセイバーゴーレムの撃破により、第三階層はクリアしたことになる。

 アーツファイトを好むギルドマスターからの挑発。

 実力主義の探索者業界。

 この終わった世界で生き残るため、少しでも強くなる必要があると考えた。


「さて、と……うおっ」


 ワープポイントを使い、移動する。

 到着した第四階層は――赤かった。

 赤みがかった平原が果てしなく広がり、空の色も夕焼けのように赤い。

 視界の奥には大きく盛り上がった丘があり、枯れた灰色の木々がまばらに生えている。

 肌をピリピリと焼くような、独特の熱さがあった。


「炎属性のモンスターが多く出てくる第四階層、か」


 さらに、このダンジョンの特徴は熱さだけではない。

 ステータス画面を開くと、右下にはカウントダウンが始まっていた。60分をスタートして、どんどん数字が減っている。


「たった1時間のタイムリミットで、強い”魔力負荷”がかかる……か」


 第四階層の空気、魔力には毒素が含まれており、一定時間吸い込み続けると、強いスリップダメージが入るようになるのだ。

 つまりこの階層は、スピード攻略が命となる。

 その代わりに中間チェックポイントとなる、ワープポイントが多いものの……スリップダメージはかなり強力なものならしく、1時間以上潜り続けることは危険だ。

 ∞ウェポンを片手に、青宮は駆けた。


「だいぶステータスも上がって来たからな。ちょうどいい、どんどん先にいかせてもらうぞ」





 平原を駆ける。

 やがてカチャカチャ、という足音を立てる生き物遭遇した。


「ゴポポポポ」


 空気がくぐもったような鳴き声。

 赤黒いボディの、巨大なカニ――ブレイズクラブであった。

 全長は2メートルほどで、左右から伸びるハサミが体よりも大きい。

 8本の足を器用に動かしながら、こちらへ接近してきた。

 見かけによらず、かなり早い。

 赤い砂埃を立てながら、走る青宮へ一気に詰め寄る。

 その鋭いハサミを開き、青宮を捉えようとする。

 だが――閉じたハサミは、虚しく空を切った。


「ゴポポ……?」


 ブレイズクラブは戸惑い、はっとした。

 青宮はすでに――次の行動へと、移っている。


「――ベルセルク、起動。悪いな、もうお前レベルじゃ苦戦しないんだ。流し作業にさせてもらうぞ」


 すれ違いざまであった。

 ブレイズクラブの胴体へ、斬撃を刻む。

 赤い砂が、衝撃で舞う。

 青い炎に包まれた青宮が、背後に立った。

 目にも止まらぬ速さ。

 俊敏に差のあるブレイズクラブは、なにが起きたのかさえわからなかった。

 そして――どさ、とブレイズクラブは倒れた。

 レベルアップによるステータス上昇、∞ウェポンの成長、ベルセルクのレベル上昇。

 度重なる強化により、両者の間にはあっとうてきな実力差があった。


「よし、次だ。まだいけるよな」


 時刻は20時。

 ∞ウェポンはもう慣れたと返事をするかのように、ダークブルーの宝石をピカピカと光らせた。

 ……そうしてブレイズクラブを倒しつつ、時間がヤバくなったらダンジョンを一度出て、カウントダウンをリセット。

 そうして進むこと、さらに2時間。22時。

 あっという間に40体を討伐したところで、青宮はこの日の狩りを切り上げたのであった。

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