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面接

 コンコン、と事務所の扉を軽く叩く音がした。


「どうぞ」


 青宮が言うと、背の高い青年が入ってきた。

 ぶっきらぼうな無表情で、静かな足音で室内へと入っていく。


「……よろしくお願いします」


「よろしくお願いします。では、かけてください」


 置かれた椅子に、男が腰かける。

 上座に座るギルドマスター青宮、そしてその隣に立つ姫咲という形だ。

 青宮は書類を見る。

 名前は荒木 良治。年齢は26歳。探索者歴は4年。なのに、過去渡り歩いてきたギルドは6カ所にも及ぶ。


(異動がなぜか、6回も受理された人材、か)


 いずれも協会に受理された形で、ギルドを転々としてきたようだ。

 しかし実力は優秀なようで、どのギルドでもそれなりに活躍してきたようである。

 実際、ステータスも悪くない。しかもレベルは、関 京也を超える45だ。


 荒木 良治 LV45

 HP 2859

 MP 640

 攻撃 638

 防御 669

 魔力 550

 精神 630

 俊敏 760


「えっと、今のギルドを抜けたい理由はなんですか?」


「人間関係です」


(そんなベタベタな……)


「小規模なギルドを希望したそうですが、なぜ?」


「今まで人数が多い所ばかりだったからです」


「ここはレベル30未満のメンバーですが、平気ですか」


「問題ありません」


 その後も質問を続け、荒木はクールに礼儀正しく、淡々と答えていった。

 面接が終わり、荒木は頭を下げて退室していった。





「なんだか、どこか不気味な印象です……」


 面接後。横で黙って様子を見ていた姫咲は、荒木に対して悪いイメージを持ったようだ。

 無表情。淡々とした受け答え。腹の底を見せない雰囲気。

 そして何回にも渡る異動願い。

 短期間での異動。

 諸々の材料は、プラスには働きづらいだろう。

 転職活動であれば、落ちる典型的なタイプだ。

 しかし青宮は、姫咲とは違う印象をもっていた。

 書類を見ながら、こくりとうなずく。


「俺は良いと思うけどな」


「ええ? ほ、本当ですか?」


「しっかりしていて、変な言動はなし、自己主張もひかえめだから、扱いやすいタイプだと思う。俺は採用するタイプだな」


 ブラック企業時代、まだ若いのに何人か面接して、入社させたことがある。

 一番トラブルなく、無難に仕事をこなしていたタイプが、荒木のようなクールな男であった。

 逆にしっかりとした意見があったり、目標があったりするタイプは、揉め事が多かったり、勝手にルールを破ったりして、扱いづらい印象であった。


「他のギルドに電話したけど、問題を起こしたわけじゃないみたいだから、むしろほしいくらいだな。俺が抜けたくらいで、ノルマギリギリになっている最弱ギルドだし。即戦力は助かる」


「青宮さんが言うなら、良いですが……なにか裏がありそうな、そんな方だと思うんですよね」


「ん? ああ、それはあると思うぞ」


「ええっ!?」


「クールな無表情に見えて、その目は注意深く俺の動きやギルド内の様子を見ていた。転々としているのも、なにか事情があるんだろう」


「そ、それなら」


「でも、過去の活動からして問題児ではないからな。それに……実力主義のブラック業界だ。普通の仕事みたいに、真面目で裏表のないやつは、あんまりいないと思うぞ。むしろ腹になにかある奴の方が、お互いに利用できる」


「は、はぁ……なんだか、すごいですね」


「姫咲さんが嫌なら、不採用にするけど」


「いえ。青宮さんが必要と言うのなら、それを信頼します」


「じゃあ、決まりだ。協会に採用の連絡をする。これで協会が容認すれば、正式採用だ」


 そう言って青宮は協会本部へ、電話をしたのであった。

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