ツインセイバーゴーレム
「――ベルセルク」
スキルの起動と共に――青宮の体に、青い炎が宿る。
胸を中心に燃え上がるオーラのように、青い魔力が灯った。
LV4へ上昇したことにより、ベルセルクに派手なエフェクトがついたのだ。
青宮の前へ駆ける速度が上がる。
両者の間合いが縮まり――先に、ツインセイバーゴーレムがしかけた。
重々しい大剣を、2本同時に振り下ろす。
持っている大剣が2本になったことにより、セイバーゴーレムの時より手数が増えていた。
重々しく振り下ろされる2対が、休みなく青宮めがけて襲いかかる。
ブオオオンっ! ブオオオンっ!
凄まじく重力感のある音。
空気がずっしりと厚みを増したかのようだ。
強い風圧すら発生される剣圧。
そして右手から、振り下ろされる大剣が青宮をとらえる。
だが、青宮は同時に――下から∞ウェポンを振り上げた。
ツインセイバーゴーレムは、全長5メートルを超える大きさだ。
しかし――その一振りは、大剣を大きく弾き飛ばした。
「いくぞ!」
青宮はジャンプし、ツインセイバーゴーレムのふところへ入る。
そしてその胸めがけて、∞ウェポンを振り下ろした。
目にも止まらぬ速さで振り下ろされたその一撃は、ツインセイバーゴーレムのコアに大きなヒビを入れる。
「ギギギギ……」
ツインセイバーゴーレムは駆動音を鳴らしながら、後ろへ下がる。
そして魔力をブースターのように背中から噴出させ、空へ飛んだ。
がこんっ! という音と共に背中の2対のキャノンの銃口が青宮へ向けられる。
そしてそこから、超高密度なエネルギー弾が発射された。
セイバーゴーレムの時と比べると、さらに高い威力。
それが2発同時に発射された。
赤い閃光の弾丸は、石の床をそぎながら着弾。
青宮は走り抜けながら、それをなんとか回避した。
「っ、やばい衝撃だな……!」
ズドンっ! ズドンっ! ズドンっ! と、床がキャノンの衝撃によって強く揺れる。
降り注ぐ弾丸の雨。
それを青宮は圧倒的なスピードによってかわす。
そしてツインセイバーゴーレムはエネルギー切れを起こし、床へと着地する。
「いける……!」
青宮が前へと飛び出す。
先ほどの感じならば、接近戦はそう不利ではない。
そう判断した。
だが、その瞬間――ツインセイバーゴーレムの背中のキャノンが、ぱちんっ! と外される。
金属音と共にキャノンが床に落ちる。
そして先ほどとは比べ物にならない速度で、前へ飛び出した。
「武装解除……!? 早いな!」
ツインセイバーゴーレムは背中のキャノンを放棄することで、体を軽くして接近戦に特化することがあるという。
その行動パターンを、早々に使ってきた。
さらに。
「っ!?」
早い斬撃。
青宮のさらなるスピードをもってしても、とらえきることができない。
カウンターを諦め、下がりながら守りに入る。
大剣による斬撃を、斧の柄で受け止める。
一撃一撃が、ずっしりと重い。
骨が軋むかのようだ。
そしてツインセイバーゴーレムが後ろへと下がる。
コアの部分が、赤く光っていた。
「……まずいな」
ただでさえ押さられていたのに、ここからブースターを交えての接近戦。
嫌な予感しかしなかった。
ツインセイバーゴーレムが、魔力を噴出して一気に前へ。
目にも止まらぬ速さ――そしてその勢いのまま、二対の剣を振るった。
とっさに斧を前にかざしてガードするも、体をゴミのように吹き飛ばされる。
背中から、厚い石壁にどすん、と激突した。
内臓を揺さぶられるような強い衝撃。
がはっ、と肺から空気が吐き出される。
しかし休んでいる暇はない。
追い打ちをかけてひたすら突っ込んでくるツインセイバーゴーレムに、青宮は防戦一方となった。
何度も吹き飛ばされ、壁にひびをいれながら叩きつけられる。
ツインセイバーゴーレムのパワーは凄まじかった。
6回目。青宮は床へ叩きつけられ、転がり、口から大量の血を吐きながら、∞ウェポンを支えに立ち上がる。
途方もない戦闘を続け――やがて、ツインセイバーゴーレムのコアから赤い光が消える。
「それで回復まで待たれたら、ヤバいけど……」
しかしツインセイバーゴーレムは、走り抜ける。
ブースターを使わず、正面から青宮との接近戦を続行した。
必勝法ではなく、ある程度の戦闘パターンになぞって行動する。
それがこのボスの特徴であり――欠点だと、青宮は考えた。
「やっぱそうするのか。お前の動きはいちいちスケールが大きいが、知性がない」
立ち止まり、その巨体が接近してくるのを待つ。
ボロボロの体。全身が痛む。
骨も何本か折れている。
それでも――彼の目には、勝機が映っていた。
ギリギリまでツインセイバーゴーレムを引きつけ。
ここぞというタイミングで、勢いよく前へ飛び出した。
そして巨大な体の懐へ。
ツインセイバーゴーレムの、勢いある前進のスピードを利用して――カウンターで、その右足めがけ斧を横払いに振るう。
すれ違いざま。
ずどおおおおんっ!!! という大きな音共に、足は切られた。
白い金属が周囲へ散らばりながら、ツインセイバーゴーレムの右足が失われる。
バランスを崩し、床にゴロゴロと転がった。
このチャンスを見逃さない。
青宮はくるりと振り返り、ツインセイバーゴーレムのコアの上へ乗った。そして斧振り上げる。
瞬間、ツインセイバーゴーレムの頭部が開く。
中から銃身が真っ直ぐ、現れた。その真ん中が赤く光る。
「またその手法か――だけど、間に合わせない!」
どしんっ、と。
エネルギー弾が発射される前に、銃身を潰すように斧が振り下ろされた。
ツインセイバーゴーレムはびくんと全身を跳ねあがらせた後――力尽きて、硬い床の上に倒れ込んだ。
巨体から降りる。
周囲を警戒。だけど、もうこれ以上わるあがきをする気配はなかった。
「っ、終わった、か……」
限界。
青宮はその場で膝をついた。
ツインセイバーゴーレムの体は魔力となり、徐々に消えていく。
勝った。
そう思った時である。
「っ!?」
殺気を感じて、振り返る。
だけど、間に合わなかった。
青宮の胸に、長い槍の刃が突き刺さる。
槍の持ち主は――にやり、と歪んだ笑みを浮かべていた。
「死ね、クソガキ」




