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モンスター部屋

 第三階層――そこに存在するのは、ただひたすら戦い続ける者だけが生き残れる“モンスター部屋”だった。

 青宮が今回のレベル上げに選んだのは、その地獄の訓練場である。

 床の下から無限に湧き上がる槍持ちの骸骨――スケルトンランサー。

 アプリで座標を確認しながら進むと、石壁の奥にぽっかりと口を開けたドーム状の空間が現れた。


「……ここだな」


 足を踏み入れた瞬間、空気が変わる。

 ひやりと肌をなでる冷気。

 次の瞬間――。

 ガチャガチャガチャッ!

 床を突き破るようにして、二メートル級の骨兵が一斉に姿を現した。

 長大な槍を構え、二十体が同時にこちらへ向き直る。


「魔石稼ぎにもちょうどいい……《ベルセルク》!」


 スキルを発動し、青宮は迷わず中央へ突撃した。

 スケルトンランサー達が一斉に槍を向けるが、その動きは重い。

 青宮は踏み込み――ずどんッ!

 斧の一撃で一体を粉砕。砕けた骨が散った。


「――っ!」


 残りの骸骨達が一斉に警戒し、四本の槍が同時に突き出される。

 だが青宮は身を捻り、刃のような動きで回避。

 斧を振り抜き、二体目を瞬時に撃破。

 さらに別方向からの二撃をジャンプでかわし、すれ違いざまに三体目を叩き割る。


「これなら遅いな。いける!」


 青宮はまるで草を刈るように、次々とスケルトンランサーを薙ぎ払っていく。

 個体の強さは大したことがない。

 だが――この部屋の本当の恐ろしさはここからだ。

 倒しても、倒しても、数が減らない。

 常に二十体が維持され、部屋を出ない限り終わらない無限戦闘。

 槍を避け、斧を振るい、また避け、また斬る。

 1体、10体、20体、50体――。

 数を重ねるほど、体力は容赦なく削られていく。

 体の奥が熱を帯び、汗が目に染み、呼吸は荒れ、全身が鉛のように重くなる。

 それでも青宮は止まらない。

 ただひたすら戦い続ける。

 狩る。狩る。狩る。狩る。狩る――。

 三時間が経ち、ようやく部屋を出て水を飲み、軽食をとる。

 そしてすぐに戻り、また戦場へ。

 気が遠くなるほどの反復。

 時間の感覚が狂い、無くなっていく。

 だが青宮は思う。


(社畜時代の仕事に比べれば……こんなの、むしろ楽しいくらいだ)


 そうして時刻は――二十三時。

 壮絶な一日であった。

 集中力とか、疲労とか、あらゆるものを超越した気分になる。

 槍の攻撃を何度も受け、血と汗にまみれた青宮は、ふらつきながら部屋を出て石床に大の字になった。


「はぁ……はぁ……! やっべ……さすがにキツい……」


 だがその甲斐あって、視界にレベルアップの文字が浮かぶ。


『――青宮 翼のLVが17へ上がりましたHP+85 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


「あと二日……! 少しでも強くならないと……あのクソクエスト、クリアできねぇ……!」


 青宮は翌日も、迷わずモンスター部屋へと足を踏み入れた。

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