表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/55

調子に乗るなよ、クソガキ

 次の日の朝は当然、とんでもない空気になった。

 関がパソコンを立ち上げると、青宮のギルドマスター昇格試験の通知が来ていたからだ。


「調子に乗るなよ、クソガキ」


 メンバーがいつも通り並んでいるが、先輩達5人がビクビクしている。

 早く話が終わってほしいと、顔に出ていた。

 対して、青宮は前に出て涼しい顔だ。


「内容は確認しましたか?」


「いや……あん?」


 ノートパソコンを操作してクエスト内容を見た関は、しばらく停止した後。壊れたオモチャのように背中を仰け反らせ、大声で笑った。


「ひゃははははははは! バカめ、こんなクエスト不可能に決まってんだろうが! ひっ、ひっ、ひゃははははは! は、腹いてぇ!」


 先輩達5人と、樹達がそれぞれ顔を合わせ困惑する。

 にやりとした笑みを浮かべながら、関はノートパソコンの画面をメンバーへ向ける。


「第三階層のボスをソロで撃破、だとよ。お得意のソロ狩りで良かったなぁ」


 樹がえ、と声を上げる。


「そ、ソロ? 第三階層のボスも? 協会が、そんな無茶な昇格クエストを送ったんですか!?」


「おうよ。協会は彼にクリアさせる気ないねぇ、うひぃ、うひひひひひ」


 関はおかしくてたまらない、と気味の悪い笑みを浮かべてくる。

 だが、これには乾が反論した。


「青宮くんは、第二階層のセイバーゴーレムもソロで撃破したんですよ。第三階層だって」


「バカかテメーは。第三階層のボスの推薦レベルは37。セイバーゴーレムより12も高い。ここで発表だ! 青宮くぅん、てめーのレベルはいくつだ?」


 青宮はため息をつく。大方、事前にそれくらいは調べているのだろう。だから、嬉しそうに聞いてくる。


「16だ」


「はい、死ぬの確定で~~~す! セイバーゴーレムを楽にソロ撃破したなら、ま、話は別だけどよぉ。どーだったんだぁ、青宮くぅん」


「どうだったかな」


 ごまかす。乾は黙り込んだ。しかし乾の暗い表情が答えだ。彼はセイバーゴーレムとの結果を知っている。

 相打ち。

 つまり、青宮は……推薦レベルとの格差は、10ぐらいが限界なのだ。

 それが、今回は21の格差。

 関が爆笑しているのも、無理はない無謀なクエストであった。

 先輩達にも動揺が走る。「そ、そんな」「でも、ノルマを軽くこなす彼なら」「いやでも、レベル16って……」「30は超えていると思ったのに……」「もしかして、無理なんじゃ……」楽観的であった昨日とは変わり、不安気になっていた。

 関は長らくヒーヒー笑っていたが――涼しい表情を浮かべたままの青宮が気に入らなくて、席を立った。

 ポケットに手を突っ込み、肩をオラオラさせながら青宮へ顔を近づける。


「スカしてっけどよ……遺書を書く準備でもしたらどうだ、あぁ?」


「アンタこそ、唱和をでっかい声で読み上げる練習でもしたらどうだ?」


「あの世でもスカし続けられるといいな、クソガキ」


 余裕があるのか、関はやはりニヤニヤとした表情で席へ戻る。


「はい、朝礼終わり。君達、残念だけどクソガキはギルドマスターにはなれねーよ。というわけで、これからもよろしく」





 ビルから出ると、有島は焦ったように青宮へ確認する。


「あ、青宮くん。昇格クエストの期限はいつなんだい?」


「明後日だ」


「明後日……!?」


 青宮は肩をすくめた。


「関は第三階層を突破している。だから最低でも第三階層突破になるだろうとは思っていた」


「だけど、ソロだよ……?」


 白井の言葉に青宮は頷く。


「それも仕方ない。関はな、ギルドマスター内で弱小クラスの実績なんだ。だから、これは関との比較というよりは、ギルドマスターとしてふさわしい試練ってことで、難易度が増していったんだろう」


「そ、そんな……」


「まあ、俺の予測だけどな。見込みのあるやつじゃないと、協会はギルドマスターとして認めないってことだ」


 むんっ、と樹が両手で拳を作る。


「でも、青宮くんは勝算があるんだよね?」


「2日訓練できる猶予がある。第三階層に良い場所があるから、そこでステータスを一気に叩き上げるつもりだ」


「わかった! 青宮くんがそう言うなら、きっと大丈夫。でも、ボスへ挑む時は近くで待機しているね。万が一の時は、回収しに行くから」


「ああ。その時は頼んだ」


 とにかく今できることは、ボスのチャレンジまでに少しでも強くなること。

 青宮式の地獄の特訓が、再び始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ