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先輩達に頭を下げられる

「「「「「……」」」」」


 降りる沈黙。

 青宮は説明を続けた。


「冒険者業界は“実力主義”。ギルドマスターは原則、そのギルド内のナンバー1が立つべき、という考えです。ギルドメンバーからの過半数の同意を得られれば、俺が昇格クエストを受けられます。なので……投票の方をお願いしたいんです」


 ここからは説得になるか、と青宮は予測。

 失敗した場合のリスクがある。

 昇格クエストが発生するということは、メンバーが同意したということだ。

 関の機嫌が大きく損なうことは間違いない。

 彼に飼いならされた彼らが、青宮に託すかどうか。

 そう思ったが……。


「――ぜひ、よろしく頼むよ!」


 パーティーリーダーがそう言うと、あとの4人も頭を下げてきた。青宮は「え?」と声を上げる。


「あんなクソ上司、とっととクビにさせちゃえ! はははは、そうなったら最高だ! どうせ仕事はなにもしてないだろうし!」


「いや、降格してもメンバーとして残りますよ……?」


「くくく、それならそれで仕返しし放題だろ? 君の噂は聞いてる。こんな化け物みたいに強い新人が関より下なわけない! 勝ったな、がはは!」


 残りの4人も「やっちゃえ、やっちゃえ!」「賛成だ~!」「革命だ~!」「地獄の日々から抜け出せる!」といった感じで、はしゃいでいる。


「じゃあ、よろしく頼んだよ! 青宮くん!」


 パーティーリーダーが再び頭を下げ、先輩たちは上機嫌な様子でテレポートポイントへ向かう。


(結果オーライ……だけど俺の調べでは、ギリギリの戦いになると思うんだが。まあ、いいか)


 樹がふふふ、と笑みを浮かべた。


「良かったね、青宮くん」


「ああ。受付に行って、申請をする。みんなも、アプリで通知が来るはずだから、同意を押してくれ」


 青宮の言葉に、3人が頷いた。





 協会支部へ戻る。受付の若い男性へギルド昇格申請を申し込み、渡された書類などを書いて提出する。

 いつもの夜勤で会う、男の職員であった。


「たった3日で“スマイル・アドベンチャー”のリーダーを狙うとは……あなたはいつも、行動が早いですね」


「どうも」


「……ここだけの話ですが。関 京也の評判は悪いです。職員への態度がひどく、現場にも1年以上出ていない。名ばかりのギルドリーダーですよ。期待の新星であるあなたなら、きっと上手くいきます」


「ありがとうございます」


 申請が受理される。あとはアプリの通知に、メンバーが同意するだけだ。

 スピード感をもってやりたいので、青宮はメッセージをみんなに送り、出来れば今日中に同意してほしいことを伝えた。

 自動ドアを潜り、支部を出る。

 星空を見上げ、ふう、と息を吐いた。


「さて、こっからだ。まあ、多分……”クソノルマ”が来るんだけどな」


 青宮のその予感は、当たることになる。

 ブラック企業におけるノルマとは――達成のできない目標設定にするのが、定番なのだから。

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