さあ、帰ろう! 帰って寝るんだ! とにかく寝たい!
2日目は初日と同じ流れとなった。青宮、樹、関、白井はヘヴィゴーレムを狩りまくり、17時にノルマを達成。
その後、青宮と樹の2人で先輩達と合流した。
先輩達のモチベーションは明らかに上昇しており、昨日よりも早い20時には終了となった。
ものすごい笑顔で「よしゃああああああ!」と5人でガッツポーズをとっていた時は、樹が引いていた。
「ううっ、青宮くん。樹ちゃん。本当にありがとう。ひどい時はさ、もう家に帰るのすらめんどくさくて、近くのラ〇ホテルに泊まったりするくらい、時間がなかったのに……まるで夢のようだ」
「あるあるですね。わかります」
パーティーリーダーと三階層でそんな話をする。
青宮の社畜時代、朝の3時に仕事が終わって、9時に朝礼の時は、帰るのがめんどくさくて、近くの〇ブホテルに泊まった経験が何回かあった。
「さあ、みんな帰ろう! 帰って寝るんだ! とにかく寝たい!」
「「「「寝るぞおおおおおおおおお!」」」」
先輩達が弾んだ足取りで帰っていく。
青宮はため息をついた。
(これは完全に洗脳されているな……)
冷静に考えれば、帰りはちっとも早くない。9時にギルドへ出勤して、終わりが20時。11時間労働、世間的にはグレーだ。ホワイトではない。
「私、社員の時に2時間残業の日なんて、一か月に一回あるか、ないかくらいだったよ……? 3時間残業は、1年に1回だけあったかな」
樹が5人の先輩達を見ながら、そうつぶやいた。
青宮の感覚からすれば、樹がいた会社はホワイト企業と呼べた。
そして迎えた3日目。
青宮達のノルマが、5人の先輩達と同じものになった。
しかし支障はない。
300体もの狩りは大変だが、例によって青宮が単独で別れ、狩りまくれば2パーティー分の速度で進む。
そして夕方。第三階層でフレイムバッドを斧で斬り伏せると、システム音が告げた。
『――青宮 翼のLVが16へ上がりましたHP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
『斧術LV3→4へ上がりました』
『∞ウェポンの「ベルセルク」LV2→LV3へ上がりました』
ベルセルク LV3
防御、精神力の下降値 20%→10%。
(よし。ベルセルクが強化されたか)
少しずつ力が底上げされているのを感じた。
だが、一方でまだまだ足りないと思っている
セイバーゴーレムでの相打ちが、彼の中でずっと気になっていた。
そうして戦力強化をしつつ、クエストを続けて。
さらに終了時間は縮んで、19時には帰りとなった。
だが、18時終了ではない。
(本来、もっと早くに終わって、余った時間は好きな冒険へ当てるべきなんだが……)
これでは冒険者は冒険ではなく、魔石を稼ぐための社畜だ。
少なくとも、先輩達5人は完全にその認識となっている。
今も終わったことに喜び、帰ろうとしていた。
「待ってください」
場所は三階層。樹達が見ている中で、青宮は話を切り出した。
「この“スマイル・アドベンチャー”のギルドリーダー。関 京也を、引きずり降ろしませんか」




