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幕章「新入冒険者をTikT〇kで躍らせるギルド」

 高卒で冒険者になり、男友達二人と毎日夢中でダンジョンに潜った。

 その努力が実り、ついに協会から正式契約。

 今日からギルドへ加入だ。


(これって、スカウトみたいなもんだよなぁ。不安もあるけど……楽しみだ)


 佐藤は胸を弾ませながら、仲間と共にギルド事務所へ向かった。

 そこには、同じタイミングで加入する女の子が二人。

 しかも同い年で、普通に可愛い。


(最高の配属先じゃん……!)


 男三人は小声で盛り上がる。


「おい、どっちが好みだよ」


「胸デケー子」


「じゃあ俺あの背高い子」


「お前彼女いるだろ!」


「いいだろ別に!」


 浮かれていた。ものすごく楽しかった。

 この時までは。





「――はーい、新入冒険者のみんな、はじめまして〜。ギルドマスターで〜す」


 三十代前半、金髪でチャラい男が現れる。


「これからよろしくね! まだ小さなギルドだけど、みんなの若いパワーで大きくしていこう! 大丈夫、君たちなら上を目指せるさ!」


 明るく前向きな挨拶。

 良い上司に恵まれた――そう思った直後だ。


「さっそくだけど、これからTikT〇k撮るからね。音楽に合わせてダンス踊る動画だよ。レッスンするから、がんばっていこう!」


「……は?」


 佐藤は耳を疑った。

 だがギルドマスターは本気だった。

 事務所に音楽を流し、ダンスを教え始める。

 しかも隊列はこうだ。


 前列:女の子二人

 後列:男三人

 中央:ギルドマスター(ノリノリ)


(なんだこれ……?)


「はい、もっと笑顔ね、笑顔! 本番は外で撮影するから! ほら、佐藤くん! もっと腕を動かして!」


「は、はい……」


(そ、外で撮影するだって!? デジタルタトゥーを刻まれて、人生詰むのでは……い、いや、大丈夫か? こんなマイナーなギルドの動画なんて、そうバズらないだろ……た、多分)


 さらに女の子たちはミニスカートに着替えさせられ、露出多めの衣装に。

 準備が進み、時刻は15時。

 撮影場所は――事務所前の歩行者通路。

 つまり、公道。ものすごく視線を集める。


「じゃあいくよー! さん、はいっ!!」


 公衆の面前で、六人がキレキレのダンスを披露する地獄が始まった。

 通行人は冷たい視線。

 舌打ち。

 ヒソヒソ話。

 悪い意味で、とんでもなく目立っていた。


(死ぬ……恥ずかしすぎて死ぬ……)


 間違いない。今まで生きてきた中で、1番恥ずかしい時間であった。


「お疲れー! これはバズるよ! いいねっ!」


 ギルドマスターは女の子二人をベタ褒め。

 女の子たちはなぜか嬉しそうであった。


「ありがとうございます〜!」


「緊張した〜!」


 男仲間二人も、洗脳され始めたのか、がんばって輪に入っていく。


「楽しかったですよ!」


「二人とも超かわいかったですよ!」


 なんてことを、言っている。

 しかし佐藤は1人……これはヤバい、と考えていた。

 というか、限界を迎えている。


(こんなギルド、もうムリ……)





 後日。「第三期生、新入冒険者! 通ります!」という動画が公開された。

 再生数――200万超え。

 コメント――1000件以上。

 とんでもなく、バズっていた。


『まだこういう会社あんのか』


『デジタルタトゥー刻まれてて草』


『顔出しは地獄』


『公道でやるなよ邪魔』


『女どもキレッキレで闇深い』


『めっちゃミニスカートなのも闇深い』


『親泣くぞこれ』


 当然、炎上している。

 佐藤は逃げるようにして、退職代行サービスを使ったという。

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