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男性職員の困惑

 狂ったかのように、フレイムバッドを狩り続けた。休みもいれず、ぶっ通しである。ちょっと前までセイバーゴーレムに殺されかけたというのに、休むことなど眼中になかった。

 夜の22時。LVは14のまま。

 3体のフレイムバッドと対峙した。フレイムバッドは青宮を囲うようにバラバラに散り、1体が声を上げながら突っ込んでくる。


「きいいいいっ!!!」


 その場でしゃがみ、飛んだフレイムバッドの下を潜る。そして素早く振り返り、斧を一閃した。


「まずは一匹!」


 一撃で翼を両断され、床へ落ちて魔石に変えられていく。

 残る2体は炎を吐くも、青宮は大きく前飛ぶようにジャンプし、距離を詰めたもう1体のフレイムバッドを仕留めた。

 逃げた最後の一匹も追いかけ、逃さず撃破する。


「はあ、はあ……」


 明らかにオーバーワークであった。

 しかし限界だと思ったところから、本番なのが社畜時代の青宮だ。

 手も足も震えているが、止めない。

 そこから2時間、さらなる狩りを続けた。





『――青宮 翼のLVが15へ上がりましたHP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


「よっしゃあああああ! やっと、LV15か……」


 どさ、と硬い床の上へ大の字になった。

 うとうとして、そこで目をつむりそうになり――慌てて、上体を起こした。


「い、いかん。寝そうになった。さすがにヤバそうだ……帰るか」


 ダンジョン内で寝て、フレイムバッドにムシャムシャされて死んだら元も子もない。

 青宮はワープポイントを目指し、移動を始めた。





「――お疲れ様です。第二階層攻略は順調ですか」


「え? あ、ああ、はい」


 いつもの男性職員ではなく、穏やかな表情をした中年の男性職員であった。

 それなのに、なんだか青宮の受付をする前に、第二階層攻略中だと言ってきた。


「ファイヤーコングをソロ攻略した探索者ですからね。ここの支部の職員なら、みんなあなたを知っていますよ」


「ど、どうも」


 会釈しつつ、退室手続きをして魔石を売る。

 職員は第三階層の魔石とセイバーゴーレムの魔石を見て「ええっ?」と声を上げた。


「ま、待ってください。あなた、ソロなんですよね」


「はい」


「そして……一昨日ですか。第一階層を突破したばかり」


「そうですね」


「それで今日、第二階層を突破したと? それもソロで?」


「一応、そうなりますね」


 相打ちだったので、攻略したとはやや言い難いが、嘘ではない。


「ありえないですよ!? 第二階層は、パーティーでもレベルが足りなくなりがちで、数か月……苦戦すれば、半年かかることもある。特に最難関ボス「セイバーゴーレム」はケタ違いだ。第一階層の「ファイヤーコング」とは難易度がいくつも跳ね上がる」


「たしかに、強かったです」


「……。っ、な、なんという。ユニークスキル持ちはたしかに、不可能を可能にするほどの才能持ちであることが多い。だが、それにしたって……」


 お金をやり取りしつつ、職員はいつまでもブツブツとなにかを言っていた。


「ありがとうございました」


「……お疲れさまでした」


 職員はなにか言いたそうであったが、あんまりあれこれ言われるのは嫌なので、青宮はそそくさと帰っていく。

 その後ろ姿を見ながら――職員は、つぶやいた。


「彼なら……この業界を、救えるのかもしれない。来たる”魔石ショック”を回避……なんて、夢見すぎか。でも、希望はあるんじゃないか……?」

本作の閲覧ありがとうございます。


次章からギルドへ初出勤。第二章、本番になります。


もしここまでの内容がよろしければ、そしてこれからの内容にご期待いただけたら、★★★★★評価・ブックマークをしていただけると、とても助かります。


何卒、よろしくお願いします!

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