救出
「――っ!? 大丈夫か、君!」
「うっ、ぐっ」
ボスフロアより少し離れた平地。そこで2人の冒険者が、青宮を救出した。
どちらも年が変わらないくらいの、若い男と女性であった。こちらをのぞき込むのが男の方で、身長が高く好青年な見た目をしている。真っ赤なジャケットに、黒のズボンをはいていた。
もう1人の方は、黒髪ロングの清楚な見た目の美女である。白のカーディガンに黒のシャツ、青いズボンといった恰好だ。
痛む体でなんとか起きる。
青年の方が、白い魔石を青宮へ差し出した。
「ボスフロアには、これだけが残されていた。驚いたよ……まさかと思うけど、1人で倒したのかい?」
魔石を受け取りながら、青宮はこくりとうなずく。どうやら、ボスを倒せてはいたようだ。
「まあ、はい。ありがとうございます。リザレクト・ポーションのお代はもちろん払いますので」
メニューのログに、リザレクト・ポーションによって傷が癒えたものが残っている。
彼らが駆けつけなかったら、あのまま死んでいたのかもしれない。相打ち、というところだろう。
最後の光景を思い出し、思わず両手が震えた。
本能的な反応で、恐怖を感じたのだ。
(悔しいな……)
「すごく派手な斧だね。もしかして……協会が発表した、ファイヤーコングをソロで倒したというのは、君かい?」
協会では∞ウェポンが斧であることは記載されていた。
というか、わざわざソロでボスに挑むような冒険者は、青宮ぐらいなものだ。
「まあ、そうですね」
「やっぱり……でもまさか、セイバーゴーレムまで単身で挑むなんて。あ、僕は乾 雄太。こっちが、白井 凜。偶然にも……ギルド「スマイル・アドベンチャー」に配属された者同士だよ」
(この人が噂の青宮 翼かぁ。セイバーゴーレムをソロって……少なく見積もっても、レベル30以上はいってないとおかしいよね。第三階層がメインなのかな。わざわざ遠い距離を移動して、ここまで来た理由がわからないけど……)
青宮は驚いた。
「そうなんですか? というか、そんなことまでもう乗っているのか」
「うん。敬語はいいよ、年は近いでしょ。ちなみに僕達は22歳だ」
一応青宮達の方が年下だが、たしかにほぼ変わらないくらいだ。
「2人もここのボスに?」
「そうだね。僕達は5人だけどね」
よく見ると、遠まきにさらに3人、そちらは男2人と女性1人の冒険者が乾と白井を待っていた。
「そうか。空飛んでいる間が、かなり強かった。遠距離攻撃が強力だ」
「やっぱり、そうか。僕達は慎重にいかないとね、凜」
乾が白井に言う。白井はこくりとうなずいた。
なんとなくだが、2人は付き合っているんだろうなと、青宮は考えた。
「それじゃ。僕達はいくよ」
「ああ。気をつけて」
☆
2人がボスフロアへ向かうところを見送ってから、メニューを開いた。
そこにはレベルが上がったことを、システムが告げている。
『――青宮 翼のLVが14へ上がりましたHP+80 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
ふう、とため息をついた。
「ギルド加入前の、最後の追い込みとして挑んだけど……反省点が多いな」
青宮はぱちん、と頬を叩いて気合を入れ直す。
まだ、体の奥が冷えるような感覚が残っていた。
「もっと強くならないとダメだ。俺は弱い。まだまだ力が足りない」
だが、彼は一度死にかけたばかりだというのに――傷が回復しだい、ダンジョン内を駆け抜けて移動していった。
1時間ほどかけて向かった先は、ワープポイント。
すかさず、第三階層へと移動したのであった。
☆
第三階層はいかにもダンジョン、という見た目にガラリと変わる。
遺跡の中のような、広大な中。天井も高く、古びた緑色のブロックが頑丈に積み重なって、道を作っている。
ワープポイントの先は、真っ直ぐに道が伸びていた。
「さて。ぼちぼち中堅冒険者、という名前が与えられ始める第三階層に入ったけど……どこまでいけるものか」
1年未満の脱落者が多い第二階層。そこを突破したものが辿り着く場所、それが第三階層だ。この辺りまで来れるようになると、冒険者として収入が安定してくる。魔石1個のおおよそのレートは、700円。日給は大体、25000~29000円だ。命がけでわりに合うかどうかはさておき、一般の仕事と比べるならば収入は良い方だ。
「うし。やるぞ」
青宮は∞ウェポンを強く握り、ダンジョン内を駆けた。
音有 互角です。いつもありがとうございます。
新連載はじめましたので、もしよければそちらの方もよろしくお願いします!
タイトル「【透視チート】会社クビになったチー牛が、ダンジョン配信でバズって人生変わった 」
Nコード「N4007MB」
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