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元カノの母親から着信

 二度も殺されたというだけあって、工藤には個人的なうらみが強いものの、高価なリザレクト・ポーションを使って応急処置はした。倫理的な問題で、殺人を回避できるのならば回避しようと考えたのだ。

 その結果、病院に運ばれた時には、冒険者特有の生命力もあって後遺症なく助かる見込みであった。

 駆けつけた警察によって、樹と共に長い間拘束され、あれやこれやと事情聴取をされた。

 冒険者協会との連携により、正当防衛が成立した。冒険者同士の争いは通常の暴行や殺人とくらべると、扱いが難しい面が多く、警察の関与は浅くなりやすい。代わりに冒険者協会が進行の主となる。

 調査に当たって鑑定スキルを何度かやると、工藤のユニークスキルをあばくことができた。これで一連の殺人事件の犯人が、彼であることは明確となる。

 ……この先のことは後日、青宮達も知ることになるのだが。

 工藤は一連の真実が明るみに出たことを悟ったのか、それとも最初から敗北したらそうするつもりだったのか。

 心境は不明だが、意識を取り戻した工藤はユニークスキルを使って自殺し、病院でその遺体が発見された。

 こうして、死神による殺人事件は解決したのであった。





「疲れたな……」


 ようやく警察から解放された時には、夕方であった。

 精神的に疲れ、今からダンジョンへ潜ろうという気にならない。

 ため息をつきつつ――郵便で送られた、冒険者協会からの案内である通知書類をぼーっと眺めた。


「冒険者協会と正式な契約、か」


 書類には青宮がギルド配属されることが書かれていた。正式加入は明後日のようだ。

 そしてインターネットには、協会が発表した新たな「協会認定冒険者」の名簿が記載される。多くの名が連なる中に、青宮 翼と樹 小春の名前があった。


「ブラックな業界という説もあるが……どうしたものか」


 驚いたことに、所属するギルドの名前まで決まっていた。ギルド名は「スマイル・アドベンチャー」。心なしかブラック企業っぽい名前だ。

 協会の公式ホームページには、複数のギルドの紹介ページがある。試しに、スマイル・アドベンチャーのページを見た。

 そこには「アットホームな職場! 私と一緒に、ワクワクする冒険をしましょう! ギルドリーダーはとっても親しみやすいです(笑)」というメッセージと共に、笑顔のギルドリーダーが映る顔写真が掲載されていた。

 ふむ、と青宮はうなずいた。


「多分ブラックだな、ここ。この笑顔のギルドリーダーは、パワハラとか部下をイジメるのが好きなタイプだ。前の上司と同じ匂いがプンプンする」


 社畜レーダーが、ここは危険だとビンビンに反応していた。


「まあでも、とりあえず頑張るか。気に入らないなら、俺が結果を残して、上の人間になって環境を変えればいい」


 暗に写真のギルドリーダーを引きずり降ろすと、独り言で宣言している。というか青宮は、そのつもりであった。ギルドリーダーになるにはなにが必要か、そして現職のギルドリーダーをクビにするにはなにが必要かを調べ、考えた。

 ……この社畜魂が、のちにこの「スマイル・アドベンチャー」を大きく揺るがすことになるのだが、それはまた後の話だ。


「ふむふむ……げっ」


 携帯が震え、着信画面になる。

 ……実は一昨日から無視していたのだが、泉の母親から電話がかかっているのだ。

 正直、出たくない。

 泉の容態も、その後どうなかったなんて、1分たりとも気にかけたことがなかった。

 はあ、と重いため息をつく。

 一応、挨拶にはいった仲なのだ。

 ものすごく、ものすごく気は進まないが、電話に出ようとスマホを操作した。


「もしもし。青宮です」

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