死神の正体
「冗談だろ……なんで、ダンジョン外にモンスターが現れるんだ」
青宮の言葉と共に、2人は武器を構えた。青宮は∞ウェポン、樹が白い杖であった。
「あの死神みたいな見た目、もしかして青宮くんが見たモンスターなの!?」
樹の問いかけに、青宮はこくりとうなずく。
「そうだな。というか、俺はまたあいつと会うのかよ。勘弁してくれ」
死神が鎌を構え、静かに――けれど、素早く前へと駆け出した。
樹が杖を地面につき立てると、そこから緑色の魔法陣が広がる。
「召喚――ヴァルキリア!」
魔法陣から現れたのは身長150センチほどの小柄な少女であった。人間であれば12、13歳ぐらいの年頃か。銀色の重々しい鎧を着て、兜を被り、右手には全長2メートルもの白い槍が握られていた。
「うおっ、召喚魔法か」
青宮が思わず声を上げる。見るのは初めてだ。
召喚魔法はレアスキル。現在、確認されている範囲では樹を含めると全国で5人しか保持者がいないとされている。ユニークスキルほどではないが、かなり珍しいスキルなのは間違いない。
そして前例通りならば、召喚魔法は強力なスキルとなる。順調にスキルレベルが成長すれば、召喚される召喚獣は単騎で高レベルの冒険者、モンスターに匹敵する力を持つのだ。
樹の召喚魔法はまだレベル2。それを現すかのように、召喚されたモンスター「ヴァルキリア」は小柄な少女だが――死神へ向けて駆けたそのスピードは、かなりのものであった。
死神とヴァルキリアの攻防が繰り広げられる。
リーチの長い武器を持つ者同士の、中距離の攻撃と攻撃が交わる。がぎん! がきん! と高い金属音を鳴らしながら、槍と鎌が激闘を繰り広げる。
その途中で、ヴァルキリアが大きく槍を下げる。
瞬間――槍の穂(※先端にある刃身のこと)が白い魔力によって光った。それを前へと突き出すと、光の鋭い刃が解き放たれ、死神の体へダメージを与える。
さらにそこへ、樹が攻撃魔法を放つ。
「――サンダーボルト!」
天へかかげた杖から、雷撃が走る。
ヴァルキリアが後ろへ下がると、死神めがけ雷が襲いかかる。
とっさに鎌を前へかかげでガードするも、そんな行動で衝撃がやわらぐわけもなく、強力な雷攻撃が死神の体を襲う。
バリバリバリ! と凄まじい音と共に、圧倒的な熱量が死神の体を焦がす。高い魔力を感じさせる力。樹は後衛タイプのようだ。
(なるほど。自分は強いと言うだけのことはある)
青宮が関心する。召喚獣で前衛の役割もこなせるため、オールラウンドな立ち回りで活躍できそうだ。
ヴァルキリアはとどめを刺すべく、前へ駆ける。
だが、ヴァルキリアの背後。地面から、黒い手が2つ生えてきた。
「あれは――いけない!」
樹が声を上げるも、間に合わない。
ヴァルキリアの両足が、黒い両手によってがっしりつかまれる。
体制を崩すヴァルキリアめがけ、死神が鎌を振り上げた。鋭い刃はヴァルキリアの胸を貫き、一撃で致命傷となる。その姿は白い魔力となって、消えていった。
「そんな……なんなの、あのモンスターは!?」
ショックを受けていると、建物の影から笑い声が聞こえた。
その声を聴いて、樹がぞっとした表情を浮かべる。青宮は、なんか聞いたことがある声だな、と思った。
上機嫌そうな様子で、姿を現したのは――工藤であった。
「今晩も一緒とは、お熱いね。ホテルにでも、行くつもりだったのかな?」




