今晩も、会いたいなって。ダメ?
その後も夢中になって狩りを続けた。スキル、レベルの上昇と第二階層への慣れから、狩りのスピードが上がっていく。
ベルセルク発動状態であれば、ゴブリンにガードされても、盾を破壊できるようになった。その後にもう一閃すれば、あのゴブリンも一撃で倒すことが出来る。
連携が厄介なことにはかわりないが、ガードが通用しなくなったのはデカかった。
かかっていた時間が、大幅に圧縮されていく。
さらにスピアバードも、わざと攻撃を受けて、体に当たった瞬間にスピアバードを叩き落とすという力技も出来るようになった。
青宮のステータスの地力が、根本的に上がっているのだ。無茶な戦い方も通用する。
そうしてゴブリンとスピアバードを狂ったように狩り、狩り、狩り、狩り続けた。敵がたおしやすくなるということは、自分が強くなっているということ。その実感が彼を楽しくさせ、モチベーションを上げた。
時刻はあっという間に20時をまわり、やがてシステム音が彼へ告げた。
『――青宮 翼のLVが13へ上がりましたHP+80 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
「よっしゃあ! LV13だ!」
さらに強くなっていく。
斧術が上がったことも影響があり、前よりも∞ウェポンが軽く感じ、扱いやすくなった。
「この調子なら、第二階層のボスフロアもいけるかもな」
調べた感じだと厳しい戦いになりそうなのだが、ここでの戦いの安定っぷりと、そしてステータス画面を見ると、「いける」という自信がわいてきた。
青宮 翼 21歳 男
LV 8 → 13
HP 545 → 928
MP 177 → 307
攻撃 134 → 253
防御 89 → 171
魔力 132 → 251
精神 89 → 171
俊敏 82 → 159
スキル 斧術LV3
さらに∞ウェポンの成長も、改めて確認すると大きいものとなった。
∞ウェポン
HP+35→100
MP+35→50
攻撃+70→95
防御+35→50
魔力+35→50
精神力+35→50
俊敏+35→50
ベルセルクLV2
ブラックソウル ???
冒険者「青宮 翼」以外装備不可である。
HPの伸びがかなり上がっていた。そして全体的にこれだけの数値が上がるのならば、恩恵は十分に大きいだろう。
「おっと。もう20時だし、帰らないと」
また受付のお姉さんに怒られてしまう、と青宮はワープポイントまで急いで移動したのであった。
☆
受付で魔石の売却まで済ませた後、外へ出ようとすると待合場の椅子に座っている樹を見つけた。
「樹?」
「あっ……青宮くん」
こちらに気がついた樹が立ち上がり、こちらへとことこと駆け寄ってくる。
「誰か待っていたのか?」
「え、えっと、その……君を待っていた」
「俺を?」
「今晩も、会いたいなって……ダメ?」
「……」
思わずもう手を出してしまいたくなるような発言だが、どうも様子が違う。
樹の表情が不安げなのだ。
「なにかあったのか?」
「あはは……わかっちゃう?」
「なんとなく。まあ、言いづらいことなら無理には聞かないが」
「ありがと。駅まで一緒だったら、いいから……」
青宮は駅前のバスに乗るので、ちょうどいいといえば良い。
「わかった。じゃあ、帰るか」
☆
「第二階層のゴブリンとスピアバードをソロ……レベルは?」
「今、13だな」
「ええーっ。結構、危ないと思うけど……ファイヤーコングといい、勇気あるね~」
「珍しいか?」
「少なくとも、見かけたことはないよ。ソロは効率上がるだろうけど、いくら冒険者でも、もしものことは考えるからね~」
「まあ、ばったり倒れたら、救出してくれる人はいないな……」
「といいつつ、私も二階層のゴブリンとスピアバードに関しては、ソロで戦っているけどね~」
「樹って強いのか?」
「ふふ~ん。君ほどじゃないけどね。パーティーに入ると、大抵は私が一番強いかな~」
「俺を買いかぶりすぎじゃないか?」
そんな会話をしながら歩いていく。
瞬間――ぞっと、強い寒気がした。
青宮は、この感覚を過去に味わっている。
樹も立ち止り、前を見据えた。
「なに……この感じ」
樹の言葉に、青宮は答えられなかった。
夜の闇の下。建物の影から現れたのは――青宮達をかつて殺した、鎌を持つ死神であった。




