↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第五章「最強の冒険者」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

157/168

世界最強へ

 2人は互いに別次元へと飛び、己のダンジョンの中へと引き込んでいく。

 真ん中に境界ができ、片方が青宮、もう片方が桐澤の固有ダンジョンとなった。

 青宮は白と黒の空間だ。現代を舞台としていて、白いビルや信号、道路が広がっている。

 そして白い人形のような、のっぺらぼうの巨人50人が軍を成していた。首にはネクタイのような黒い布が垂れさがっており、服装もどことなくスーツっぽかった。

 全長は3メートルほど。そしてとりわけ大きい、7メートルほどの巨人の肩に、青宮は乗っていた。


「……。普通、こういうのはドラゴンとか、そういうデザインじゃないのか」


 少し不服そうにつぶやく。

 対する桐澤は、まるで白の中であった。

 白い天井に白い床、白い柱がいくつも立っている。

 巨人と同じぐらいの大きさ、中身がない白い鎧が歩いており、一番大きい鎧の上に桐澤は立っている。

 巨人と鎧は、境界へ向かって進んでいく。

 そうして前線と前線がぶつかり合い――地響きを鳴らしながら、大きな体同士で戦闘を開始する。

 鎧は右手に持った剣を、巨人は拳を振るった。

 ズドン! ドゴォん! ドォォォん!!!

 戦場のあちこちで爆音が響き渡り、化け物同士がぶつかり合う。

 鎧も巨人も、その1体だけであのトリニティ・ワイバーンに相当するような強さを持っている。

 やがて青宮は炎を使い、上空へ。

 桐澤も背中に光の翼を広げ、上空へ飛んだ。

 互いのダメージは大きい。

 長くは戦闘ができない。

 次の一撃で決まる――そう思っている。


「はっ、もうフィニッシュなのが悲しいなぁ。お前となら、何回戦でも楽しめる気がするぜぇ」


 桐澤は言いながら、大剣に聖なる魔力溜めていく。

 まばゆいばかりの光。

 全てを浄化する、破壊の光だ。


「……俺は二度と、お前と戦いたくないけどな」


 青宮も斧へダークブルーの炎を灯していく。

 2対の斧両方へ――必殺の一撃を叩きこむ。


「――カオス・クレイブ!」


「――セイクリッド・ブレイド!」


 魔力による大爆発が、空中で発生する。

 地上すらも巻き込んで、巨人と鎧を容易に吹き飛ばしていく。

 2人が形成したダンジョンの中央に、巨大なクレーターが発生した。

 世界がこのまま終わるのではないか。

 そう思えるほどの、激しい震動と衝撃を伴う爆発であった。

 巻き込まれた巨人と鎧は、姿すらも無くしていく。

 塵も残さないとは、まさにこのことだ。

 そしてその真ん中で――どすん、と音がした。

 桐澤が落下した音だ。


「がはっ……! オレがイっちまったかぁ。ははっ、こんなことは初めてだぜ……!」


「……それは、良かったな」


 青宮は静かに、地上へ着地する。

 しかしその体はボロボロで、あちこちから血が流れていた。

 世界最強の冒険者に勝利し――新たな“最強”が誕生した瞬間だ。





 大いなる力同士の戦いのため、加減することも難しかった。

 そもそも青宮にそんな余裕もない。

 勝負には勝ったが、それは桐澤が彼の力を引き出すために、最初から本気を出さなかったからだ。


「オレはつえーヤツとヤりあえれば、それでよかったんだよ。命が消えかけるような、生を感じる戦いをな。おめーには感謝してるよ」


「……正直、全く理解できないけどな」


 同等の存在に辿り着いたが、思想の分では最後まで理解が出来なかった。


「たしかに、テメーは少しちげーかもな。四之宮はオレに期待してなかった。なにせオレは、ダンジョンマスターに近い考えの持ち主だったからな。まあ連中と違って、オレはもっと単純だけどよ。別に、勇者による死なんざ求めちゃいねぇ。結果そうなったがな」


 桐澤は笑う。

 その体はほとんど魔力となって消えてほり、右半身しか残っていない。

 しかしなぜか、その状態で喋ることが出来ていた。


「お、そうだ。お前、次は四之宮を満足させてーんだろ?」


「言い方に語弊があるが、そうなるだろうな」


「なら、オレの力をやるよ」


「なに?」


「オレの勇者の証は、引き継ぎ可能でよ。ま、劣化版にはなるが、役には立つだろ。ほらよ」


 桐澤の指先から、光の玉がゆらゆらと揺れた。

 そして桐澤の体は霧散し、消えていく。

 桐澤が展開したダンジョンも消え、青宮の展開したダンジョンに覆いつくされた。


「これは……?」


 光の玉が、青宮の右手の上へ乗る。

 握りしめると、システム音が告げてきた。

 同時に、見た目に変化が生まれる。

 体の周囲に青い魔力が浮かび、髪の色も青く変化した。


『――青宮 翼のLVが64へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――青宮 翼のLVが65へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――青宮 翼のLVが66へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――青宮 翼のLVが67へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――青宮 翼のLVが68へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――スキル、勇者の証を獲得しました』


 スキル 勇者の証 LVMAX

 常設バフ。スキル・ダンジョンによる干渉を無視し、世界を正しく認識することが可能。

 さらに力を開放すると、1秒につき、1MP消費することで、全ステータス20%上昇する。


 スキルを発動すると、両目が白く光った。

 自分の中に、わずかだが桐澤の力が宿ったことを実感する。


「そうだ。ダンジョン・ルーラーの能力で、気になることがあるんだよな」


 システムをいじる。

 ダンジョンマスターの権限が与えられるダンジョン・ルーラーの力は、自分のダンジョンより格下のダンジョンであれば、自在にワープすることが出来る。

 また、これは現代の地球上にも言えることで、あらゆる地点へ瞬時にワープポイントを形成し、そこへ行くことを可能とする。

 自分でダンジョンを作る能力もそうだが、このワープ能力も相当な規格外であり、人間離れした気分になる。


(桐澤がおかしくなったのはこんなにも大きい力を、たった1人だけで得たから……なんて理由だったりしてな)


 しかし彼女へ同情している暇はない。

 あらゆるダンジョンへのコネクションを探る中――見つけた。

 彼女の“気配”だ。





「うっ……ヤバいかも」


 広大な森の中。ダンジョンでひたすら特訓していた樹は、窮地に立っていた。

 杖を地面に立てても、膝をついた状態。

 足が言うことを聞かなかった。

 召喚魔法も倒され、目の前には赤い恐竜が吠える。


「ギャアアァァァァァ!!!」


「でも、諦めるわけには……!」


 全ては青宮の隣に立つため。

 その一心だった。

 だが……体が追いつかない。

 よくはやった。

 非合法な手段で、通常ではありえない速度でレベルアップもした。

 しかし……それまでだ。

 ここまでやっても、青宮の隣に立てるレベルじゃないのは、もうわかっていた。

 彼のやり方はそう真似できるものじゃないし、才能だって違う。


(私、死ぬのかな)


 でも、それもいいかと思った。


(青宮くんには、姫咲さんがいるし……)


 そう思った瞬間だ。

 目の前の恐竜が、ぎょっと背後を見た。


「? なに……」


 ゴオオオオオオオ、と青い光――ワープポイントが、唐突に現れる。

 恐竜は吠えた後、森の中を駆けめぐる。

 ワープポイントから、一歩でも遠くに逃げようとしていた。

 しかし――その体は、目に見えぬ速度で真っ二つにされる。

 恐竜の体は魔力の光となり、消えていった。


「……嘘?」


 樹は自身の目を疑った。

 恐竜を倒したのは――青い炎をまとい、2つの∞ウェポンを持ち、瞳を広く光らせる青宮であったからだ。


「……オーバーキルか。さすがに」


 青宮は自身の力に当惑するように、つぶやいた。

 そして地面へ着地し、樹を見る。


「迎えに来たぞ」


「……」


「……」


 無言。しばらく、見つめ合う。

 お互いに、色々と状況が変わっている。

 聞きたいこと、言いたいことがある。

 だが――樹が真っ先に出たのは、そんな大真面目な話ではなかった。


「姫咲さんと、え、エッチなこと、したでしょ……?」


「っ!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。