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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第五章「最強の冒険者」

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社畜VS勇者

「スキル起動――∞ワークス!」


 発動と共に、影山の伸ばした左腕がダークブルーの炎に包まれる。

 そしてその炎が消えた瞬間――もう1本の∞ウェポンが現れた。

 大きな斧を、二刀流のごとく握る。

 桐澤が眉をひそめる。


「あぁん? んな重そうなモンを2つ持ってどうす――」


 言葉は最後まで紡がれない。

 青宮は一瞬にして、桐澤の背後をとった。


「っ!? はっ、いいねぇ!!!」


 青宮が右腕の斧を一閃。

 すぐさま振り返り、桐澤は大剣でそれを受け止めた。

 ∞ウェポンによるステータス上昇。

 現在はそれを2本持つことにより、2本分の恩恵を受けることが出来る。

 それにより、全ステータスが先ほどよりも格段に上昇していた。


「最高だ、最高に興奮するぜ! こんなの久々だ! ダンジョンでもオレの渇きを癒せなかった。冒険者は腰抜けばっかりだった! けど、お前はちげぇ! お前だけだ! 青宮 翼だけが、オレを渇きから解放してくれる!」


 斧と大剣がぶつかり合うたびに、爆発が生じた。

 地面や壁がひび割れ、砕け、ダンジョン内がボロボロになっていく。

 怪物2体による戦闘。

 これがもしも街中で行われていたら、辺りは瓦礫の山となるだろう。

 それほどまでの、規格外の戦い。

 国家のパワーバランスへ関与出来るほどの、圧倒的な破壊力を保持した者同士の、決して交わってはいけないものであった。

 故に桐澤は興奮する。

 人類なんぞゴミに出来るほどのパワー同士のぶつかり合い。

 自身の魂が、本能が、叫んでいるのを感じていた。


(こっちはそんな余裕ないっての……!)


 青宮が歯ぎしりをする。

 もはや口を開く余裕もない。

 常人――いや、もはや冒険者ですら目に負えぬほどのスピードによる争いだ。

 気が抜けない。

 気を抜いたら、体が消し飛ぶ。

 爆発が当たり前の一撃、一撃だというのに、その一手は綱渡りのごとく繊細。

 青宮はダークブルーの炎で体を守りながら、二刀流で斧を振るう。

 それでも全身が軋む。

 光の魔力が、刃が、体を傷つける。

 肩が、腕が、足から血が流れていく。

 対して、桐澤はほぼ無傷。

 やっとの思いで斧をぶち当てても、聖属性のぶ厚い魔力による壁が、彼女を守る。

 間合いもとれない。

 間合いをとるという、暇すら与えてくれないのだ。

 状況は絶望的。

 だが――。


(限界を超えろ――!!!)


 社畜時代の精神。

 そして同時に――桐澤と同じ、高揚感も感じた。

 圧倒的な強者。しかし世界“最強”同士であることを感じさせる力。

 それに魂が反応していた。

 目の前の敵ならば、いける。

 もっと高みへ。

 限界のその先へ。


『――ベルセルクがLVMAXへ上がりました』


 ベルセルク LVMAX

 消費MP50。自己強化スキル。攻撃力、俊敏を110%上昇。魔力、HP、防御、精神を“30→50”%上昇。効果時間は7分、クールタイム10秒。


 青宮のまとうダークブルーの炎が、さらに熱く、強力になる。

 しかし――。


(違う。こんなものじゃない――この女が、求めてるものは!)


 パワーの上がった青宮の一閃。

 桐澤もそれを察知した。


「すっげぇモンもっているなぁ、お前! たまんねぇよ!」


 ズドオオオオオンっ!!!

 武器同士がぶつかり合った瞬間、両者を引き剥がすほどの大爆発が起こった。

 ふっ飛ばされ、傷つき、血を吐き――しかしそれでも、両者は地面に着地。

 ボロボロの体で、敵をにらんだ。

 ダンジョン内が揺れる。

 天井から、瓦礫がボトボトと落ちてきた。


「はははははっ!!! オレ達が激しすぎて、ダンジョンが壊れちまうなぁ!」


「そうみたいだな」


『――青宮 翼のLVが61へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――青宮 翼のLVが62へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――青宮 翼のLVが63へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――ダンジョン・ルーラーを獲得しました』


『――ワークホリックを使役できるようになりました』


『――ワークホリック・キングを使役できるようになりました』


 さらに跳ね上がる能力。

 今までにない感覚だ。

 というか……真っ当な方法なら、こんな境地に達することはできないだろうという、領域であった。

 前の前にいるナンバーワンが、どれだけ並ぶ者がいないか、バグなのかということをさらに実感する。

 なにせ――ここまで来て、ようやく同じ境地に達したと感じたからだ。


「桐澤 揚羽。俺と戦うのをやめろ」


「あーん?」


「これだけの力を、お前も持っているんだろ。オレとお前なら、四之宮に勝てる。勝負はそれからでいい」


 無駄だとわかりながらも、いよいよその確信があったので、提案する。

 しかし――桐澤は、歩み寄らない。


「あとちょっとでイクってのに、おあずけなんざできるわけがねぇだろ? 最後まで楽しもうぜ、青宮 翼ぁ!!!」


「っ、バカ野郎が――」


 2人は同時に――起動する。

 ダンジョンブレイク。

 四之宮がやったこととほぼ同じ力を、その場で使った。


「「スキル起動――ダンジョン・ルーラー!!!」」


 青宮と桐澤の周囲を同時に、次元や空間をも歪める特殊な“魔力”が巻き起こる。

 2つの力はぶつかり合い――固有の“ダンジョン”を形成した。

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