トップの争い
「俺に戦う気は――」
「逃がすわけねぇだろ、あぁん?」
桐澤が大剣を持ち、こちらへ向けて振り下ろしてくる。
あの時と同じ。
圧倒的なスピードとパワーでもって接近し、斬りかかってきた。
ズドンっ! と大剣と斧がぶつかり合う。
ギリギリギリギリ、と金属と金属が軋む音と共に、鍔競り合った。
「ここへ挑んだだけあって、あん時よりもかなり強くなったみてーだなぁ」
「今こんなことしてる場合じゃないのは、お前こそわかっているんじゃないのか」
「ダンジョンの真理なんざ、オレには興味ねーよ。つえーやつとヤれれば、それで満足だからなぁ」
桐澤が剣を引き、目にも止まらぬ速さで振り回してくる。
後ろへ下がりながら斧で流すも、一撃一撃が重く、両腕が痺れた。
「四之宮が動こうとしてるんだ。せめてそれが終わるまで大人しくしてろ」
「はっ! ぬりぃことを言うなよ。本当はお前だってウズウズしてんだろぉ?」
「勝手に同族扱いするな。お前の勘違いだ!」
キィン! と互いの得物をぶつけ合った後、両者は後ろへ跳躍し間合いをとる。
「朝から晩まで楽しんでいるヤツが、よく言うぜ」
「元社畜なだけだ」
「同じようなモンだろ。イカれてる者同士、派手にやろうぜ?」
桐澤の大剣に白い光の魔力が集まっていく。
青宮も構え、ダークブルーの炎をまとっていく。
「――セイクリッド・ブレイド!」
「――カオス・クレイブ!」
両者の大技がぶつかり合う。
耳をつんざくほどの音だ。
衝撃だけで、あらゆる建物が吹き飛ぶであろうほどの威力。
ズドオオオオオ!!! と、派手な爆発がダンジョン内に炸裂し、青宮は壁に叩きつけられた。
「ぐっ……!」
背中に痛みを感じながらも、立ち上がり、油断なく斧を構える。
(向こうは本気じゃないのに……ここまでの強さか。まあ、俺も全てを出しているわけじゃないが……)
先ほどのダンジョンマスターとの戦闘と、第八層での戦いで青宮の強さも飛躍した。
前に会った時と違って、力量差を感じているわけではない。
(とは言っても、向こうは世界最強の探索者って言われている奴だぞ。本気でやりあいのは避けたいんだが)
ダンジョンの真ん中に、クレーターが出来上がっていた。
黒煙が晴れた瞬間――好戦的な笑みを浮かべる桐澤が立っている。
「いいねぇ。激しいヤツは好きだぜ?」
桐澤は楽しくてしょうがない、という雰囲気だ。
残念ながら、ある程度戦ったら満足……というわけにはいかないようである。
(やるしかないか。やれやれ、なんでこういう手合いばっかりなんだろうな、この業界は)
青宮は呆れながらも、桐澤と戦う決意を固めた。




