ダンジョンの真理
「ここまでたどり着いた冒険者には、ダンジョンの真理を伝えています」
悠然と語る四之宮。
よく見ると、その体にはノイズが走り、質感が感じられなかった。
ホログラムのような、立体映像なのかもしれない。
「……ダンジョンの真理?」
「はい。私も彼女と同じ、ダンジョンマスターと名乗る“存在”です」
四之宮ふふふ、と微笑む。
「お前もあの女の子も、人間じゃないのか」
「はい。ダンジョンそのもの、ダンジョンを司る存在です。私達ダンジョンは、数多もの世界へ根付き、人と共に歩んできました。この世界も、私達も、その無数の存在の1つです。あなた達と同じ、生命体なんですよ」
地球外生命体のようなもの、ということを言いたいのだろうか。
四之宮は饒舌に語る。
「ダンジョンと人類はどの世界でも、共に歩んできました。私達の存在は人類を発展させ、活発にし、豊かにし、そして時に破滅をもたらしました」
「破滅……お前達も、RPGみたいに人類滅亡とかが目的なのか?」
「魔王と呼ばれる存在に似通ってはいますが、少し違いますね。私達は1つだけ、生命体として特殊な本能をもっています。それは強力な闘争本能です」
「闘争本能?」
「強者を求め、そして強者によって討伐される。それがダンジョンの役割であり、ダンジョンの本能です」
「……」
ずいぶんと無茶苦茶な性質を兼ね備えた存在である。
だが、四之宮もそのダンジョンマスターとしての本能に乗っとるならば、行動としては納得いくものがあった。
「会長になったのも、業界を盛んにさせたのも、全ては強者を育成するためか」
「ふふふ、そうですね。それと私の趣味ということもありますが。人が好きなので。特に美女の形をとり、媚びると男性の人間は骨抜きにされるので、とても面白いです」
「そうか……もしかして、ダンジョンブレイクの時も、関係していたりするのか?」
「ええ。あれを起こしたのは、私の力です。ダンジョンマスター、それも上位となるとあのくらいは起こせますよ」
「だけど、アンタが返り咲くことはもう出来なそうだな」
「そうですね。とても残念です。ですがもう、機は熟したと思っています。現にあなたが、ここまでたどり着いたので」
四之宮はたおやかな笑みを浮かべた。
「それでは、あなたに真理を告げたところで、一旦お別れです。名残惜しいですが……お客様が来るようなので、仕方ありませんね」
「お客様?」
「また会いましょう、青宮 翼」
四之宮の体が消えていった。
やはり本体ではなかったようである。
そして――フロアの中央に、ワープポイントが生まれた。
その光から現れたのは、大剣を持った桐澤 揚羽である。
「――よう、青宮 翼ぁ」
「お前……!」
桐澤はにやり、と獰猛な笑みを浮かべる。
「2人きりだしよぉ。存分にヤりあおうぜ、なぁ?」




