第二階層へ
第二階層へのワープポイントはファイヤーコングの出現スポットよりかなり遠く、レッドシープやスライムを無視しても到着は18時となった。
普通の冒険者ならばそろそろ探索を切り上げるが、青宮はそうならない。お残業の時間である。
そのまま第二階層へとワープした。
辺りは緑のない、荒原であった。葉の生えていない木々がいくつか生えていて、大きな岩が髄所に転がっている。
第一階層とは違う空気感を味わいながら歩くと、右手に木の棍棒、左手に盾を持ったゴブリンが現れた。
「ゴブぅ!!!」
「……一体か。まずは腕ならしかな」
全長1メートルほどの小柄なモンスター。
だが、ゴブリンの討伐推薦レベルは10だ。
素早い動きと棍棒による一撃は強力で、小柄な見た目とは裏腹に危険性が高い。第一階層と第二階層とではいきなりレベルが違ってくる、と冒険者界隈では言われるほどだ。
そしてその言葉を、青宮は実感することとなった。
ゴブリンの動きは早い上、レッドシープやスライムよりも知性を感じさせる。盾を使ってしっかりと斧の攻撃を流し、棍棒でカウンターを狙う。
まるで人とやりあうかのような攻防。駆け引きや、互いの探り合いのようなものがある。一撃、棍棒による打撃を足にくらった。
「ぐっ!?」
重い衝撃。中の肉をかき混ぜるかのような強い力だ。
HP 588/638
ダメージもそれなりに大きい。2体、3体と増えたらやっかいかもしれない。連携をとられでもしたら、より戦いは難しくなるだろう。
油断は出来ない相手だ。
動きを見定めつつ、斧を振るう。ステータス自体は青宮の方が有利で、戦いが続くにあたって徐々にこちらの攻撃が当たるようになる。
3回攻撃したところで、ゴブリンは撃破された。魔石を回収しつつ、ため息をつく。
「まあ、そうすんなりとは進ませてくれないか」
強くなったつもりだったが、短期間で第三階層というのは難しいかもしれない。
そんなことを予感させる一戦であった。
倒せない敵ではないし、ソロ狩りを始めた頃のような危うさがあるわけではない。ただ、レッドシープやスライムのような、単調さのある動きではない。これは中々に厄介だ。チュートリアルは終わり、第二階層からが、ダンジョン攻略本番なのだろう。
☆
予感は当たり、2体での戦闘は苦戦を強いられた。ダメージが多く、HPは一戦で430まで削られる。
ベルセルクを使っても、結果は似たようなものであった。ゴブリンはしっかりと青宮の変化を観察して、ベルセルクを使うと間合いをとり、防御を強化する。1体1ならば、ベルセルクによる速攻が通じるが、2体になると警戒もあいまって、連携をとられて戦闘時間を伸ばされてしまう。1体は盾と回避でしっかり守りながら、もう1体で攻撃に専念する……そういった戦法をとってくるのだ。数にものをいわせた捨て身のアタックも厄介であった。
『――青宮 翼のLVが10へ上がりましたHP+71 MP+24 攻撃+20 防御+13 魔力+20 精神+13 俊敏+12』
「お、レベルアップか……今日は、まだ2つしか上がっていないのか。昨日が上手くいきすぎたんだろうな」
時刻は午後の10時すぎ。3体以上との戦闘をしてみたかったが、今日は自身の動きのキレがこれ以上あがらないと判断。上がろうと考え、ワープポイントへ移動し協会へ戻った。
(……そういえば、ゴーストやあの謎のモンスターとは出会わなかったな)
無論、今の状態でもあの死神に勝てる保証はないので、出会わないにこしたことはない。
ただ、あれが結局なんだったのか。わからないままなのは、不気味であった。
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