樹の悶絶
『――青宮 翼のLVが48へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
『――ミッションを達成しました。レベルアップボーナスが付与されます』
『――青宮 翼のLVが49へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
「2回目でもきっついな……」
今までの階層と違って、1戦1戦がハードのため、体力をごっそり削られる。
その代わりにミッションによるボーナスがかなり旨いが、今まで戦ってきた中で一番キツい内容である。
さらに前踏破者の報告書によると、このミッション達成後に探索することで、ボスフロアへいけるのだという。
「ここからさらにやるのはキツイな……」
またこれも報告書によると、ミッションが簡単になるパターンもあるのだという。
簡単になった時が、ボスへ挑むチャンスといえるだろう。
「今日はもう出よう……」
青宮はヘトヘトの体で、ダンジョンを出た。
☆
マンションの自室へと戻ると、姫咲 桜が夕食を作ってくれていた。
「桜、ありがとうな」
「いいんですよ~」
すっかり同棲状態のようになっている2人であった。
献立は肉じゃが、白米、味噌汁、ほうれん草のおひたしと王道にして至高なるもの。
というか、なんだか新婚のようである。
(うまっ……)
じゃがいもがホクホクとしていて、甘辛いだしが染み渡っている。柔らかいニンジンに、ジューシーな肉と、白米が進んでいく。
醤油でさっぱり美味しく食べられるほうれん草のおひたしも、アクセントとなって最高だ。
空腹が幸福に満たされていき、疲れた体にエネルギーが染み渡った。
(樹は元気だろうか……)
つい、そんなことを考えた。
そして罪悪感なんてものも、湧いてきて。
「樹さんのこと、考えてますか?」
姫咲に問われて、青宮はびくりとした。
「そ、そんなことは」
「ふふふ、いいんですよ~、樹さんなら」
姫咲は穏やかな笑顔であった。
青宮は冷や汗をかく。
☆
夜。樹の携帯に、またも姫咲からメッセージが来ていた。
――今、青宮さんの部屋にいます。
「ぬおっ!?」
ベッドから転がり落ちる。
頭を打ちながら、メッセージを改めて確認した。
「ほ、本当に……? もしかして、え、エッチなこととかも……いいな……」
青宮を獲る宣言など、姫咲が急に大胆になっている。
しかし昨日と比べると、樹は少しだけ冷静になっていた。
(姫咲さんも、焦っているのかな……)
青宮の隣に立てないこと。
支えるには、遠すぎる存在であること。
力になれないこと。
彼女も同じことを感じているのかもしれない。
「な、ナニしているのかな……ずるい……抜け駆け……」
とはいえ、それはそれとして怒りに燃えているようであった。




