第八層、2日目
朝。姫咲が作った朝食をとった後、2人で部屋を出た。
「もう復帰するんですね」
「ああ。もう元気になったし、大丈夫だ」
「無理はしちゃダメですよ、翼さん」
「わかっている」
「そう言いながら、無理をするのが翼さんですけど」
そう言って、姫咲は少し背伸びをして、青宮の頬にキスした。
外で触れ合うということに、新たな緊張を感じる。
「ふふふ……甘えちゃいました。戸惑っている顔も可愛い」
「あんまりからかわないでくれ……」
そう言いながらも、青宮は右手で姫咲の髪を軽く撫でる。
2人はマンションの階段を降りていった。
☆
第八層へと入ると、同じ内容のミッションが課せられた。
しかし出現するモンスターが異なり、真っ黒な首無しの鎧が、ガチャガチャと音を立てながらこちらへ向かってくる。
全長は3メートルほど。身の丈と同じくらいの大剣を持っていて、背中から赤いマントをヒラヒラとさせている。
「威圧感あるな……」
鎧がこちらへ近づき、大剣を振り下ろす。
青宮はそれを回避しつつ、斧でカウンターした。
しかし――ガキンっ! と、硬い鎧によって弾かれる。
∞ウェポンの火力をもってしても、ダメージを無効化されていた。
高い防御力。あらゆる物理攻撃が通用しない守りのようだ。
「なに……!?」
これまで攻撃力には自信があったが故に、こんな経験はほとんどない。
こういうのを∞ウェポンによって底上げしたステータスで、力づくで突破してきたばかりだ。
しかしここにきて、それが阻まれる。
驚く青宮めがけて、大剣を一閃され、斧で受け止めた。
青宮は後ろへ弾き飛ばされ、ベルセルクの炎でなんとか受け身をとる。
「長期戦になるから、あんまり使いたくないが……仕方ない」
出し惜しみをしている場合じゃない。
∞ウェポンへ魔力を送る。
鎧へ近づきながらダークブルーの炎をまとい、斧を振り上げた。
鎧も大剣を振り下ろし、武器と武器がぶつかり合う。
ゴオオオオ! という高い音と共に、大剣が粉々に砕けた。
動揺する鎧の懐へ潜り込み、もう一度スキルを叩きこむ。
「――カオス・クレイブ!」
ズドンオオオオン!!! と、鎧の胸に大きな切れ込みが入り、飛び散った鎧の破片床に落ちる。
金属音を鳴らしながら、鎧は倒れ、魔石へ変わっていく。
終わったと思った瞬間――どこから現れたのか、新たな鎧が間髪入れずに大剣を青宮めがけて振り下ろしてくる。
青宮はそれを横っ飛びして回避した後、斧を構えた。
「休憩時間もなしか。お前らも大変だな」
青宮は好戦的な笑みを浮かべ、前へと飛んだ。




