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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第五章「最強の冒険者」

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久しぶりの休暇

「ダメですよ、青宮さん。ちゃんとご飯は食べないと」


「あ、ああ。悪い……」


 どうしてこうなったのか、と思いつつ食事を取る。

 なにやら料理を振る舞うつもりだったのか、姫咲は持ってきた食材でたまごうどんを作ってくれた。

 あったかい麺と麺つゆの旨味と、卵の濃厚な甘みが絡み合って美味しい。

 刻まれた細ネギがしゃきしゃきと口の中で音が鳴るのも心地よく、良いアクセントとなっていた。

 消化にも良さそうである。


「冷蔵庫の中、空っぽでしたね。自炊はしないんですか?」


「コンビニで適当に食べるだけだ」


「栄養偏っちゃいますよ~。ゴミ箱の中、カップ麺多かったですし」


「早く用意出来て食べ終わるからな……」


「もう~。そんなことだから、突然倒れるんですよ! いつまでも若いわけじゃないんでから!」


「そ、そうだな」


「ちゃんと野菜も食べないとダメですよっ。果物、豆類、海藻も大事です!」


 姫咲は押しかけ女房のごとく、掃除をして、青宮の看病をしたりした。


(い、良いのか、これは)


 こうして2人きりになって、距離感が近いと、姫咲が美人であることを嫌でも意識してしまう。

 そして自分の部屋にいるので、当然、本能的な意識も強くなる。

 脳裏には、前の彼女との嫌な思い出が蘇る。

 無意識に女性を遠ざけていた。

 ダンジョンに熱中することで、樹や姫咲のアプローチにも動じなかった。

 だが休んでいるところにつけ入れられると、どうにも、その予防線が無くなっていく。

 夜には美味しいカレーを作ってくれた。

 後片付けをする後ろ姿は、完全に嫁だ。


(もっと広いところに引っ越そうかな……)


 青宮もすごいことを考え始める。


「今まで……」


 姫咲が皿を洗いながら、なにかを言う。

 青宮はソファに座りながら、え、と声を上げる。


「なんだ?」


「ダンジョンブレイクの時も、それ以外の時も……遠くから、見守っていれば、いいかなって。影から応援できれば、いいかなって。そう思っていたんですけど……樹さんがいない今、チャンスだって。つい、そんなことを思ってしまって……」


「ひ、姫咲」


「ごめんなさい。急に、こんなこと……」


 沈黙が降りる。

 なにか言わないといけないことはわかっていたが、言葉が出ない。


(どうすれば……)


 片づけを終えると、姫咲は帰ると言って、玄関へと移動した。

 青宮は見送るため、その後をついていく。


「青宮さん。ゆっくりしてくださいね」


 姫咲が背中を向け、ドアノブに手をかける。

 その瞬間になって、青宮は声を上げた。

 またな、と言おうとしたが――実際に出た言葉は、別のものであった。


「……もう少し、ここにいてくれないか」


 姫咲の頬が赤く染まった。


「はい……」


 そこからは流れで、夜を共に明かすことになった。

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